日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

いつもお世話になっているヒメミズキさんを通して、新潟市にあるキューブデザインさんからご依頼をいただきました。
妙高市にできる住宅の大きなランプシェード。
大きなダイニングテーブルを光で包み込むような、ご家族で集われる場所に溶け込むようなランプシェードとゆうことで、初めてのサイズ製作となりました。
140センチ×50センチ×h25センチ
まずは、製作の風景から。

1m×2mのメーター板と言われる、材料の中で一番大きな板からの切り出し。

このご相談をお受けした際には、一人でつくるのは難しいかなと思っていたのですが、気の合う者との共作でないとうまくゆかないと思い、一人での製作に挑む形に。
工房でも、父の上り盤と私の上がり盤を両方使っての製作。

相談の結果、部屋の色とのバランスで、土色の外側と、光の反射を考えて内側は月色にするため、平らなうちに錫引きへ。
普段なら、バフで綺麗に磨けるものも、この大きさになると、手作業となり、全身を使う作業の始まり。

内側から叩き込み、モクモクとした湧き上がるようなイメージで、形をつくってゆきます。

形が完成した後に、外側から、普段は大きく形を変える時に使う金鎚で、外側から叩き締め、形の整えます。
キューブデザイン さんと相談しつつ進める今回のランプシェードは、自分の頭の中で完成させるよりも、相談の中で形が出来上がりました。
この波を残すのもそうで、職人としてよりも、作家性を重視して、普段の自分の仕事から少し離れたところで、完成を目指していました。

吊るされる前のランプシェード。
空間に収まるまでは、私の想像を託す形となります。

と共に、内側の細工も製作。

光が前面に出ないように、反射板も製作。
10年位経った後、ライトも交換できるようにと、考えを巡らせます。このあたりの設計を考えるのも好きなのだなと感じた、今回の仕事です。
本体と反射板の組み合わせ、それが天井から吊るされ、何十年とご一緒するための設計。

吊るされている画像をお送りいただき、空間に溶け込んでいることを確認できほっと一息。

そして、今回は完成見学会もあり、ヒメミズキさんのコーディネートがされている中で、想像も膨らみます。
25日には、私も足を運ばせてもらい、いろんな角度からランプシェードを確かめて、ほーーーーっと一息つくことができました。

今回の経験をさせてもらい、設計された方との交流の中で、建築と工芸について、改めて考える機会をいただきました。
工芸や美術は、建築とゆう空間づくりの中から派生したものと考えています。
その空間の中で、どうものづくりが活きるのか。
また、ひとつ言葉に落とし込めるように考えたいと思います。

今回、このような貴重な機会をあたえていただきました、キューブデザインさんありがとうございました。
そして、いつもご縁を繋いでくださるヒメミズキさんに、心より感謝致します。
こんな感性を持たれる、キューブデザイン さんの完成見学会も各地で行われるとのことですので、是非、足を運んでいただき、実感していただけたら幸いです。

10月6日よりの1ヶ月、銀座松屋さんで開催されていた工芸批評の展示会に、企画デザインをしてくれたツバメコーヒー店主の田中さんと、やっと伺うことができました。
この展示は、秋の工場の祭典で定点的にお話会に来てくださっている明治大学講師であり哲学者の鞍田崇さんに推薦していただき、参加させていただきました。

鞍田さんとは、この5年ほど、交流を持たせていただき、今の工芸の流れを学ばせていただいたり、各地の作り手さんをご紹介いただき、書家の華雪さんとも、鞍田さんの授業で知り合ったことを思い出します。
この様な機会をいただくことで、とても励みになり、自分の器を改めて見直すこととなりました。
鞍田さんには、いつもご縁をいただき、心より感謝しております。

また、夜には「青花の会」に参加し、ギャラリーオーナーの松本武明さんと山内彩子さんのお話を聞きに。

クラフトフェアやSNSの登場で、 作り手と買い手の距離が近くなり、 その間で作り手の健全な経営ができるようになったとき、 ギャラリーの意味が問われている、今。と感じています。
また、それだからこそ、売り手の観る力が作り手に与える影響も大きいだろうなと思う今日この頃です。
いくつか質問したかったこと、またいつか。

東京で、学び多き時間を過ごさせていただきました。
また、工房に帰り励みます。

先般の茜染の翌日は、改装した生活手仕事研究所で、初めてのみそづくりを開催しました。
伝えてくれたのは、同じく大阪市中津商店街の冨貴工房のたかくん。
生活と手仕事が寄り添うような日々を目指している私としては、生業の鎚起銅器と共に、みそ造りのような手仕事を、この場所で続けてゆくことも大切な事と考えます。
その第一歩を、敬愛なるたかくんを迎えて開催できることを、とても嬉しく思っています。

先ずは、下ごしらえ。
前夜に大豆を浸水し、一晩つけて、2.2倍程になった大豆を、今回は工房の薪ストーブで。
ガスコンロでと思っていましたが、どうせなら薪でと思える選択肢を持てていることも、災害のさいなどには大切なこと。

みそづくりも、午前中は座学から。
みそづくりの行為自体も大切ですが、なぜ、この時間を過ごすのか?とゆうことを、捉えながらの手仕事が大切。

戦国時代のみそのことや、みその語源など。
みその噌の字は、かまびすしいとゆう意味の当て字とか。発酵物でであるみその中には、たくさんの微生物が共生し合っています。

昼食を挟んで、本格的なみそ造り。
今回は、佐賀の無農薬で栽培された大豆と、平戸で炊かれた海塩で仕込みました。
タライで、長岡で育てられた麹を揉みほぐし、塩を混ぜます。
薪ストーブで茹でた大豆は、甘みが出ると感じます。と共に、保温性がある為に、豆を潰す時は、火傷に注意。

大豆がよく潰れたら、麹塩を混ぜ込み、煮汁を入れながら、硬さを調整します。
程よくなったら、1キロずつに丸めて出来上がり。
それぞれが欲しいキロ数を持ち帰り、樽に仕込まれます。

体験してみないと、大変そうだと思うこともありますが、このように体験してみると、とても手軽で気楽な手仕事であり、熟成された手前みそは、とっても美味しさを届けてくれます。
これも微生物の恩恵。

これからの季節、昼間に薪ストーブの上で大豆を茹で、夕方から仲間と集いみそを仕込み、ご飯を食べたり、お酒を飲んだり。そんな想像を広げつつ。
次回も、近々、開催したいと思います。

先日、改装でお世話になった、新潟市松浜の建築事務所 アトリエnicoさんの事務所兼cafeを会場に、茜染めの体験会を開催させてもらいました。
伝えてくれたのは、大阪市中津商店街で、茜染めやみそ造りの手仕事をしながら、各地にWSを開催している冨貴工房のたかくんこと、冨田貴史さん。
私も、普段から彼の染めた茜染めの風呂敷や下着、アイマスクなどを愛用しており、古来からある茜の効用の実感をしています。
そんな茜についての座学からの始まり。

楽しさに包まれながら、茜の歴史や染めを通じてのコミュニティなどについても、話は深まってゆきます。座学をしながらも、下屋では茜を煮出しつつ。

今回は、茜染めの為に養生がしてありますが、普段は木の温もりに包まれる、素敵なcafeでもあるnicoさん。
普段は、ベーグルやスープのランチなども。
今回は、優しい味わいの豚汁をつくってくださいました。

昼食を挟んで、本格的な染めの始まり。
まずは、布を水に馴染ませることから。

じっくりと何度も何度も、媒染とすすぎと染めを繰り返し徐々に茜色に染まってゆきます。

今回は、3回の工程を繰り返しましたが、たかくんが作品とするときには、8回、9回、10回と、納得ゆくまで染め重ねるとのこと。
一気に赤くするのではなく、徐々に染めてゆくことで、色落ちのし難い、色あせし難い染物になってゆくとのこと。
今回は、冨田家の照晃くんのファーストシューズも染められました。
みんなとっても、鮮やかな良い色。

1日の体験を通して感じたことを、集った皆さんとシェアして、終了。
子供達も一緒に過ごす良き時間です。
このように手仕事を通して、集える場があること、手仕事をしながら、いろんな話が深まること、とても良き時間です。
また、次回は、4月ごろにお招きする予定です。
ご関心のある方は、是非。
会場を貸してくださった、nicoさん、ありがとうございました。

10月3日木曜より始まりました
燕三条工場の祭典に合わせ、改装後の生活手仕事研究でも、イベントを開催しております。
まず第1弾は、縁側づくり。
「ここに縁側があったら良くないですか?」とゆう、アトリエnico 羽ヶ崎さんからご提案をいただき、「そうですね!」とゆうことで、10月4日に公開DIYとして、縁側をつくりました。
その製作工程を、お伝えさせてもらいます。

事前に届いた材料。
今回は、檜を使った縁側。
檜は、油分が多く、このような雨が当たる場所にも向いているとのこと。

先ずは、土台部分になる部分。
窓いっぱいに縁側が出るように、家本体に木材を打ちつけます。
この家は、窓が大きいことも特徴のひとつです。

左側の四角い木材が基礎となる部分。
今まであったブロックの上に置いてみたら、水平もぴったりで、スムーズ。
これまでの改装で培った羽ヶ崎さんとの息もぴったりで、どんどんと作業は進んで行きます。

基礎に合わせて、等間隔に上物を打ち付ける基礎づくり。
小学生の時に使った式算も、こんな時に役立ちます。

基礎ができたら、あとは只管に、縁台の打ちつけ。

雨も降り出しましたが、台風が来る前にと打ち込みを続け、結果二時間で終えることができました。

こんな素敵な縁側で、この秋はサンマを焼き、日本酒と共に、想像力を養いたいと思います。
本日5日土曜より、明日6日日曜まで、この工房改装DIYをご一緒してくれた羽ヶ崎章さんが、工房に11時より17時まで居られますので、ご関心ある方は、是非、工房にお越しください。
心よりお待ちしております。

燕三条 工場の祭典に合わせ
本日より7日月曜まで開催される
産地の祭典2019に合わせ
三条ものづくり学校 100号室にて
鎚起銅器職人大橋保隆の手仕事 と antique VerMeer Old English Spoonsが開催されます。

主催してくださるのは
いつもお世話になっている。
Bar Book Box store 豊島淳子さん。

いつもは
イベントの際でBar出店などでご協力いただいていましたが
今回は、アンティークスプーンと鎚起銅器の企画で
100号室前の空間を設えてくださっています。

豊島さんの経験の中で
感性に触れたものとして鎚起銅器を選んでいただけたことを
とても嬉しく思いますし
100年、200年前のイギリスの職人がつくった
アンティークスプーンと
どんな手触り肌触りがあるのか。
私もとても楽しみな展示です。

今回の企画に向け
作成されたパンフレット。
豊島さんとご挨拶と共に。
3名の言葉を大切にする方々が
文章を寄せてくださっています。
何度、噛み締めても
発見がある文章達。

手触りを通して
邂逅する職人の姿勢。
是非、足を運んでいただけたら幸いです。

この銅鍋づくり体験ツアーから、新しくつくったパンフレットを参加者さんにお配りしています。
10時から16時の長時間の体験会となりますので、このパンフレットをご覧いただき、その長い時間の流れを少しでも想像していただけたらと思い、作成いたしました。

可愛らしいアイコンが満載の、このパンフレットは、昨年の工場の祭典にて、ツバメコーヒーさんの展示でご縁のあり、当時、金沢美術工芸大学大学院生だった、水島美優さん。
私は、水島さんが企画してくれた、コーヒードリッパーを製作させてもらいました。そんなご縁で、卒業展示を拝見したりと、交流を深めさせてもらいつつ、そのアイコンの素晴らしさに、今回のパンフレットをお願いする流れとなりました。

今、水島さんは新潟に帰ってきて、FDさんに就職をされており、デザインの仕事を邁進されています。

なんどもやりとりを重ねて、裏面には取扱説明も載せ、ご自身で生み出した銅鍋を一生物として、大切に育てていただけるように。

以前、銅の錆である緑青が毒だとゆう説があり、その無毒が証明された後も、名残があるようです。実際に使っていただけたら、その使い勝手の良さや、料理のしやすさ。時間の無い中での使い勝手の素晴らしさを実感していただけると思います。

Facebookページには、参加者さんがお料理をされた模様などもupしていただいておりますので、是非、ご覧いただけたら幸いです。
鎚起銅器てづくり銅鍋愛好会


そして、是非、一緒にご自身の手で銅鍋を生み出していただけたら幸いに思います。
三条ものづくり学校では毎月開催しておりますし、各地へも道具を持って伺います。
HP blogをチェックください。心よりお待ちしております。

先日のフランスの旅で、南西フランスのみなさんに向けてのデモンストレーションを行わせてもらった様子が、地元の新聞に掲載されたとの報告をいただきました。
現地で宿を提供してくれた日置かよこさんのお陰で、この様に沢山の方々に触れていただけたことを心より嬉しく思います。

今回の旅では、地元の大工さんに体験会用の道具をつくってもらったりと、日本の手仕事を実感していただく機会があったりました。
以下、パリで案内をしてくださった中村さんが訳をしてくださったので、記載させていただきます。

昨日で、職人になり23年目に入りました。
この貴重な機会を励みに、一歩一歩着々と進めたいと思います。
これからもご縁のあるみなさん、何卒、よろしくお願いいたします。

ラ・ソヴタ・ドゥ・ドロ
//日本の伝統工芸、鎚起銅器の発見//
我々のような小さな地域では、住人である日本人に、他の日本人が訪れることは珍しい。今回の訪問には目的がある。日本銅食器の伝統技術を紹介し、Yasutoshi Oohashi がデモンストレーションをすることだ。日本の伝統と親子で受け継がれてき技芸を。
この工芸品は、生まれた地域より « Tsuiki »と呼ばれ、平らな銅板を何度も叩くことにより、茶道具だったり、酒器などの洗練された食器具に仕上げていくものだ。
Yasutoshi Oohashiは、1975年7月17日生まれ。少年の頃から、同じく職人であった父Masaaki Oohashiの後を継ぐことを夢見て、10年の修行の後、独立した。2007年より制作をはじめ、技術を伝えるアトリエを主催し、今ではとても好評となっている。彼の高貴な振る舞いや、魅力的な人格は、多くのファンを惹きつけている。クリエイターとファンのつながりは、作品の価値を高め、作品は真に唯一のものとなっている。
8月16日、エイメの「Toi Eymet Moi」アソシエーション前で行われた第一回デモンストレーションの後、同日、ソワレ・グルモンド祭の最中に、Oohashi San (日本ではこのように呼ぶ)は、祭りの実行委員会に招待され、2枚の銅板制作を、大人、子供達の前で披露し、皆、かくも遠くから来たこの技芸を興味深そうに見学した。土台は切り株、道具はハンマーのみ。精巧さと忍耐とで、作ろうとしている食器の形まで作り上げていく。
見学者から拍手を受けたOohashi Sanは、作った器を見学者たちに回し、触らせてくれた。日本ではこれで食事の際、お酒を飲むのだそうだ。そのあと、子供たちにハンマーを握らせ銅板を叩く体験もさせてくれた。着物を着た日本人女性は、彼の技芸と連絡先が記載されたパンフレットを配布した。

大きな什器も全て入り、これからは場を整えてゆく小道具の製作を進めてゆきます。普段の仕事の中では、銅鍋の取っ手を真鍮で作ったり、表札の製作には板金技術を使ったりと、鎚起銅器の技術以外の技術も複合的に使います。
そんな技術を活かしながら、吊り戸棚の取っ手や、ガスレンジの囲いなどを作ってみました。

先ずは、吊り戸棚の取っ手を二種類。
普段は、銅鍋の取っ手を作る要領で、丸めのものと、四角めのものとを製作しました。
空色の丸い取っ手は、以前作ったコンチョを利用。

続いて、S字フックと、C字フックを。
これらのフックは、鎚起銅器の銅鍋づくり体験の際に連れて行って、一緒に販売したいと思っています。
ご自身が生み出した銅鍋を愛でれるように。

こちらは、壁に取り付けるタイプのフック。

作業台が出来上がり、コンロも据え付けられた為、必要なものやアイディアも広がります。
ガスレンジ周りの油跳ねを防ぐガードも、銅板を曲げて作ってみます。こちらは、表札の奥行きを出すために縁を曲げる工程の応用です。

最後は、フランスの蚤の市で買い求めたドアノブの取り付け。
羽ヶ崎さんが持っていた、小さなウォールナットの木片と、私が切り出した銅板を組み合わせ、地としました。

10月3日木曜〜6日日曜にかけて燕三条で開催される、工場の祭典に合わせ、生活手仕事研究室もご覧いただけるようにしたいと思います。
そして、まだmだ小道具制作は、仕事の合間に進めてゆきますので、またご報告させていただきます。

徐々に形になって来ている事務所を
「手仕事研究室」と名前をつけたいと思います。
ここでは、ギャラリースペースとして
私が普段つくっているものを実際に見ていただいたり
鍋やフライパンなどを実際に使っていただく場としても
活用してゆきたいと思っています。

今回は、その中心となる作業台と本棚の製作です。
作業台は、新潟市松浜の建築士 アトリエnico 羽ヶ崎章さんの設計で、フレームを新潟港近くの造船所の方から。木材の部分をワダヨシヒトさんから作っていただき、設営にもきていただきました。

天板は、食器棚と同じで、楢の木を使い、堅木の重厚さと、木の持つ温かみを感じる、大きな作業台。
ここでの料理が楽しみで、想像が膨らみます。
大きなテーブルの上では、大きく広げられ、想像力も大きくなるように感じます。

作業台の前面には、棚も作ってもらい、収納スペースも広くなりました。
そして、私の好きな本や資料を並べるための本棚づくり。
こちらも、羽ヶ崎さんが設計してくれ、ボルトを使い上から吊るす棚となりました。
ボルトは、保養活動でも一緒している、新潟市河渡のバイク屋 CORE CRAWの中島志門さんに依頼。
本棚に合わせて金具の溶接も、手早く仕上げてくれました。

DIY的に、ホームセンターで合板を4等分にしてもらい、穴を開けて組み立てへ。

こちらも大容量で、資料や私の好きな本を並べながら、新しいことを考えられる環境が整いました。
そして、合板と金具の関係性から、たわみが気になるため金具製作を。
真鍮の丸棒を加工し、ブックスタンドを兼ねながら上下の合板を繋ぎ合わせます。

大きな什器も全て入り、ここからは小さな部分を整えてゆきます。
普段の鎚起銅器の仕事で培った技術を活かし、小道具製作に入ります。