日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

カテゴリー〈 日記 〉

鎚起銅器の仕上げにおいて、漆をかけることがあります。
何故、漆をかけるのか。
色艶に深みを増し、堅牢な色となります。

仕上げの内容としては、普段と同じように、器が完成したら綺麗に磨き、硫化カリュウムの水溶液の中に漬け込むことによって黒くします。

その後、艶を出すように磨き込み。
緑青硫酸銅の水溶液を沸かし、2分ほど銅器を煮込みます。

よく乾かし、ゆるく熱しながら漆を伸ばし塗ってゆきます。
全体的に漆が行き渡ったら、ムラの無いように全て拭き取り、その後、釜を被せて最弱の弱火で1時間。

最後にイボタ蝋とゆう純粋な蝋を塗ることで、艶がまします。
この辺りは、普段の銅器と同じ最終工程。
漆を塗ることで、深い艶感がでてきます。
今回は水盆とゆうことで、水滴などの後が出にくいように、このように漆をかける作業を入れました。
その使い勝手によって、鎚起銅器製作工程も幅をもって進めてゆきますので、ご相談ください。

新潟市秋葉区の三方舎さんよりご依頼いただき、ギャラリーの看板製作をさせていただきました。
今回は、その製作工程をお伝えいたします。
先ずは、打ち合わせし大きさを決め原稿をいただきます。
今回の看板はパソコンデータでいただきましたが、特に決まった書式があるわけではなく、紙媒体に手書きでいただいても対応することは可能です。
三方舎さんからいただいた原稿を反転し、柔らかくした銅板にロゴを写します。この度の看板は40センチ×50センチ。

銅の看板づくりや表札は、先ず裏側から文字を打ち出し、その後、表側から表面を整える工程。この黒い物体は松脂といい、油と砥の粉と煤が混ざったもので、熱すると柔らかくなり冷えると硬くなる性質があり、コンロで何度も温めながら、徐々に文字を打ち込んでゆくとゆう作業が続きます。

こちらの鏨とゆう道具も、鉄の棒を加工し50本以上の種類を使い分けます。

おたふくと言われるハンマーも数十グラムの重さの違いで、削ったり穴を開けたりと自ら製作したもの。

裏面完成。

表面に付いた松脂を綺麗に落としてから、地模様を叩き入れ、今度は表側から整えるように文字の表面を鏨で整える。
1センチほど折り込み立体にし、四隅を錫で固めたら形は完成。仕上げに入ります。

形が完成した看板を綺麗に磨き込んだら、硫化カリウムをお湯に溶かしたものに漬け込み真っ黒にし。
文字部分を磨き出し。

緑青硫酸銅の混合液で1分から2分煮混むことで玉虫色に発色します。

こちらで看板が完成。今回は、外壁に設置されるとのことなので、段々と緑青が吹き、徐々に緑色が濃くなってゆくかと思います。度々訪れられる場所だけに、三方舎さんでどんな風に育てゆくのか、ご覧いただけたら幸いです。

久々に動画を撮ってYouTubeにupしてみました。
鎚起銅器に於ける「均し」作業です。

銅鍋づくり体験では、「皆さんに入れてもらう鎚目は模様のようなものなので
入れても入れなくても良いです。」とお伝えしていますが、普段の製作ではほぼ金鎚で製作するので、金鎚の跡は必然的についてしまうものです。

それを最後に小さい金鎚で叩き整える作業を「均し」と言います。読んで時の如くといいますか、成形段階では大きな金鎚でガンガンと叩いて進めるので1ミリほどの中でも厚みに差がでます。その差を叩き整えるので「均し」とゆう作業です。

以前の彫金がメインの鎚起銅器製作の際には、この鎚目を全部削り落とし、彫金模様を施していました。

ですので、皆さんにお伝えしている銅鍋づくり体験での鎚目入れは、やっぱり模様入れとゆう表現だなと振り返る午後です。
金鎚が平らに落とせるようになるまでは、錫の塊を叩いて平らにしては鉄鍋で塊に戻し、また叩くとゆうことを仕事終わりに1週間続けました。
入社して最初に、金鎚との関係性を覚える修行の始まりです。

一枚の板から打ち、立ち上げる鎚起銅器の特徴の一つに、底を張り出す作業があります。大学などで教える鍛金の授業ではこの作業はなく、この地方独特のもののようです。
この底を張り出す作業は、作業を速めやすい、材料を節約しやすいとゆうような特徴があるかと考えます。

その分、形を捉え難いとゆう面もあるようです。
作業内容としては、こちらの動画をご覧ください。

今回は、湯沸の製作の一部です。

燕市の建築士 金子勉さんにお声がけいただき、ご自宅の洗面器のご相談をいただいたのが、昨年の10月。建築士さんのご自宅とゆうことで、様々な試みを取り入れられている中のひとつとして、地元の鎚起銅器を選んでいただきました。
今回は、設計図を拝見しながら、大体の洗面器の大きさや高さ以外は全てお任せのご依頼。普段から私の仕事を知っていただいているだけに、私も安心して引き受けさせていただきました。
ご依頼をいただいてから、頭の中で様々に想像を膨らませながら、年を跨ぎ、この春に現場を拝見。想像は膨らませていたものの、据え付ける場所を実感したお陰で、一枚板の上にぴったりとくる形が思い浮かびました。

まずは、材料の発注。
今回は、一枚板の迫力に応えられるように、普段よりも厚い2ミリの材料での製作。普段は0.8ミリから1.2ミリの材料厚なので、重量も倍近い材料となりました。365ミリ×600ミリで約4キロの重み。四角いまま製作を始めます。

鎚起銅器とゆうと、一枚の板を打ち縮めて形をつくりますが、今回は厚みもある材料なので、大きな金鎚で底面を打ち伸ばしながら、大きさを出してゆきます。
普段は使わない、このような大きな金鎚で。

そして、四隅は、いつものように打ち縮めて、絞って高さを出してゆきます。

四隅の角を切り落とし、いつものように叩いて固くなったら、焼き鈍しをして柔らかくするを繰り返す。高さが徐々に出てきます。

形が完成したら、排水口部分の打ち出し。
これだけの大きさの銅器だけに、バランスを取るのが難しく、身体全体で支えながら製作は進みます。

もう一度、現場に伺い、蛇口や板とのバランスを取り、穴の位置決め。こちらも、徐々に打ち出し。

ステンレス製の排水溝と擦り合わせをしながら、穴開け。
その後、最後の微調整を行い、排水溝は完成です。

最後に、洗面器の淵に鑢をかけ、四角板から製作した縁の変化を残しながら、丸みも出しながら、きりりと引き締めて。
銅器そのものの素材を活かす色に仕上げをしたら完成。

想像はきっちりとしていても、やはり、現場に収めることで、ほっとするもの。
鎚起銅器の技術を織り込む四角い初めての洗面器が仕上がりました。
お題である一枚板に、銅器の厚みが応えてくれました。実際に観ていただくと画像では伝わらない迫力が感じていただけると思います。

全てお任せとゆう依頼で、このような機会を与えてくださった建築士金子さんの新しいお宅には、様々なアイディアが詰め込まれており、完成が私も楽しみです。
是非、金子さんのHPをチェックいただき、その姿をごらんいただけたら幸いです。

ミルクパンや片口など、鎚起銅器で製作する注器は、金属特有の材料の薄さがあるため、水切れがよいと言われています。

その製作工程を、今回はお伝えします。
まずは、口を打ち出す目安を鉛筆で描きます。

その後、6種類の金鎚と木槌を使い、打ち出してゆきます。

とてもシンプルな作業ですが、口のくびれ角度や大きさなども、それぞれの職人の個性が出る作業です。

鎚起銅器の技術が詰まっている湯沸。
その中でも「口をどのように本体に付けているのか?」とゆうご質問をお聞きします。
そこで、今日は口がどのように本体に付いているのかをお伝えします。

まずは、本体が完成し、取っ手を付けるための耳を取り付けます。

その後、作っておいた口に合わせて、本体に穴を開け、鋏で切り出し、鑢でぴったりと擦り合わせます。

このように嵌め込んだ後に、200度程で溶ける錫とゆう金属を回し込んで、目止めします。

これで、完成。
空焚きをして錫が溶けない限り、半永久的に持続します。

この度、群馬の陶芸家 はるな陶芸工房 りらさんの依頼を受けて、急須の真鍮の取っ手をつくらせていただきました。
この急須は、3月1日から7日まで開催される。手紙社さんのオンラインフェステイバル 紙博&陶博に向けての製作。
私も陶器の取っ手を作らせてもらうのは初めてのことで、試作や話し合いを重ね、新しい世界を感じる製作となりました。

銅器では、取っ手にバネを効かせて、倒れないようにしたい。とゆう基本がありますが、それでは、陶器には擦れが出てしまう。
また、仕舞うときには取っ手が寝ていた方がよい。
などなど、銅器では当然としていたようなことが、陶器では通じない世界。
やりとりを重ねる中で、陶器の性質や使い勝手なども聞けて、私の世界も広がりました。

昨年に二人展を行い、普段のやりとりも通して、信頼できる作家さんだからできる共作。
是非、こちらの陶博のりらさんのページもご覧いただけたら幸いです。
りらさんの陶器は、触れてみることで、その使い勝手を深く考えてくれていると感じられる器。
そして、生活の中に取り込むことで、楽しさを添えてくれる器だと感じます。
より多くの方に触れていただけたら幸いです。


弦の製作

2021.02.19

今回は、湯沸などの弦の製作工程をお伝えしたいと思います。
鎚起銅器に於いて、湯沸は沢山の技術が詰まっていると言われますが、この弦も職人それぞれの個性がでるところ。
どのように出来上がるのかを、ご覧いただけたら幸いです。
まずは、これも平らな板から。
徐々に、丸めてゆきます。この丸める作業は道具に当てながら丸めて行くわけではなく、木槌で空打ちで丸めながら、寄せてゆきます。
このように、中空になることで、銅の軽さが活き、熱が逃げる仕組みになっています。

繋ぎ目を銀ロウで溶接し、弦の形を決めてゆきます。

それぞれの湯沸に擦り合わせ、湯沸の耳との接合部分に穴を開けたら完成。
仕上げて、籐の蔓を巻きます。
この籐の蔓巻きも職人の好みが出るところ。

私は、峰を立てるのが好みですが、それぞれの湯沸の形状に合わせ、この辺りも変わってきます。
今回の動画は、見難い部分もあったと思うので、再度チャレンジしてみます。
今年は、このような動画も撮りためてゆきます。

2020年の大晦日で、工房の大掃除も終わり、明けて2021年。
1月4日、仕事始めとさせていただきました。
今年は、器に模様を施す、彫金の仕事。その中でも彫り込む鏨を使った彫金仕事を深めてゆきたいと思います。

燕の地では、金属製品がたくさん作られますが、その中でもスプーンやフォーク、ナイフなども世界中のシェアを占めます。
そのステンレス製のカトラリーを作る過程でも、彫金は重要な役割を持つもの。カトラリーの原型を彫る彫金師が、この地にはたくさん居ました。
居ました。と表現するように、今ではそれらの彫金の仕事も少なく、彫金師の高齢化が進み、後継者が居ない状況は進みます。

そんな中、私が師事した長谷川清師匠。
師匠は金型を彫る型彫り師としてご活躍される中、工芸の世界にも身を置かれる方で、私の父と同年。
玉川堂に入り3年ほど過ぎた頃から、仕事が終わった後や、土日の休みになると、師匠の工房に寄せていただき、彫金のいろはから教えていただきました。

師匠の彫金見本。

彫金の肝は、鏨とゆう金属の棒に刃をつけること。
最初は、銅の四角い塊を彫り崩し形をつくることから始まります。鏨は研ぐ角度により多様に表情を変えます。その表情は理に適っており、どう研げばどんな彫り跡になるのかを5年に渡り教えていただきました。

塊を彫る作業には、何十本もの鏨が必要となり、丸いもの、角があるもの、三角のもの、その大小や角度など、様々な形があります。
この様々な鏨を経験することで、銅器に彫り込む際にも柔軟に対応できるようになります。
こちらは、片切鏨といい、筆のような彫り模様を施すことができます。

最初に作ったのは、根付け特集で見つけた兎の模刻。

ご注文で彫らせていただいた模様やロゴ。

師匠から教えていただいたことは、本にまとめてあるものでもなく、口伝で伝えていただいたことばかり。
だんだんと衰退してゆくこの彫金とゆう技術を、どのように次世代に伝えて行けるのか。今年はよくよくと考えて私なりの鎚起銅器づくりを進めてゆきたいと思います。
みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。