日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

カテゴリー〈 製作 〉

木札製作

2022.11.08

久しぶりに、木札製作をすることになりました。
この一文字を彫り込む木札は、独立当初、各方面から依頼していただき、彫金に於ける鏨を使う機会をいただきました。
なかなか使う機会のない彫金とゆう技術。
25周年の節目に、初心に帰り、彫金も研鑽してゆきます。
独特な文字で彫り込む、この木札。
左から





となっております。

こちらの木札を、送料税込 5,000円で再販をします。
お好きな文字を一文字、彫らせていただきますので、ご希望がありましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

使い込むほどに文字が浮き出てきます。
銅の温もりを身近に感じていただけたら幸いです。

本日2022年9月20日。
夕刻5時30分にタイムカードを押したら、鎚起銅器職人の道に入り丸25年2007年に独立して15年を経たことになります。
振り返ってみれば、崇高な志があったわけではなく、父が勤めている親戚の鎚起銅器の会社に転がり込み。ただひたすらに目の前のことを一所懸命に過ごしていたら、今ここに辿り着いた。そんな心持ちです。
でも、そんな道程で沢山の方々と出会い。そのご縁の中で見つけることができた人生の宝物は、今確かにこの手の中に在ると感じています。

4年前より鎚起銅器に関する本を近所のコーヒー屋と企画していました。燕三条で毎年10月に開催されていた工場の祭典に際して、彼が企画し私が銅器製作をしていた数年の道程を1冊の本にまとめようとゆう事がきっかけです。
当初はもっと簡素なものとなるつもりでしたが。どうせならこんな試みもどうだろうか?この方にも文章をお願いしてみたい。と積み上げてけきたら
「俗物」このような本が出来上がりました。
https://tsuiki-oohashi.com/book
10月7日から始まる2022年工場の祭典より発売します。

特に予算があったわけではなく。自分たちのやりたいことを詰め込んで、印刷屋さんからの見積もりをもらった際。「これは墓石を買うようなもんだな。」と思いました。
私が資金は出しましたが、自分の意思でこの本ができた。とゆうよりも、製作委員のみんなでこの本とゆう人格を一緒に考え、一所懸命に積み上げてきたらここに辿り着いた。といった感触です。
この本特に私が文章を書いているわけではありません。依頼させてもらった執筆者のみなさんに鎚起銅器に触れていただきそれにまつわる文章を寄せていただきました。

日々、職人としては独り、一所懸命に積み上げてきましたが、この本は企画を一緒に始めたツバメコーヒー 田中辰幸。デザインを担当してくれたツムジグラフィカ 高橋トオル。私たちの手綱を引っ張ってくれた 編集 佐藤裕美。製作委員会 4人の力を合わせ一所懸命に積み上げてきました。
この本をひとつの節目としてまた職人として26年目も一所懸命に積み上げてゆきます。

このメンバーで形にした本「俗物」是非是非一人でも多くの方に手に取っていただきたいと思っています。
何故「俗物」とゆうタイトルなのか?は、田中さんの文章をお読みください。
https://note.com/zokubutsu220920/

詳細やお申し込みなどにつきましては、HPの特設ページをご覧いただけたら幸いです。
今日から予約を開始し、10月6日までは事前予約にて、送料無料で俗物グッズもプレゼントさせていただきます。
【事前予約限定・特典タオル付】『俗物』鎚目銅板付き特装版セット(送料込)¥16,500 税込
【事前予約限定・特典バッジ付】『俗物』普及版セット(送料込)¥5,500 税込

私とmailのやりとりをしながら予約をしてくださる方は↓より
「俗物」HP
https://tsuiki-oohashi.com/book
現代的にポチッと買ってくださる方は↓より
俗物ストアーズ
https://zokubutsu220920.stores.jp/

このHPページやnoteでは徐々にこの本に纏わる動画や文章をupしてゆきますのでそれも楽しんでいただけたら幸いです。

兎にも角にも、鎚起銅器職人大橋保隆26年目。
明日からも一所懸命です。
またご縁のある皆様のご指導ご鞭撻の程何卒よろしくお願い致します。
2022年9月20日
大橋保隆 拝


執筆者:
 大倉 宏(美術評論家)
 華雪(書家)
 木村 衣有子(文筆家)
 鞍田 崇(哲学者
 高木 崇雄(「工藝風向」店主)
 田中 辰幸(ツバメコーヒー店主)
 富井 貴志(木工家)
 三谷 龍二(木工家)
鼎談:
 山田立(玉川堂 番頭)
 佐藤大介(あららぎ 店主)
印刷: 藤原印刷株式会社
発行: 「俗物」製作委員会

以前は、湯沸などによく使われていた「出し摘み」の製作をさせていただいたので、その工程を記しておきます。
よく使われていた、とゆうだけに。今はつくる職人さんもほぼいないでしょう。
今は、木製のものの方が使いやすいですし、実用的です。また私も普段の製作では銅と比べて熱伝導率が小さい、真鍮の摘みを使っています。
今回は、「湯呑みの蓋のイメージで製作してほしい」とゆう依頼があり、製作させてもらいました。

製作は、至ってシンプルですが、徐々に肉を中心に集めるとゆう作業を繰り返します。
1ミリの材料を使いましたが、この厚みの中でも肉をあっちに集めたり、こっちに寄せたり。とゆうことを繰り返しています。

徐々に中心に肉を集め、高さを出します。
高さを出したら、摘みの特徴であるくびれを付ける。

最後に全体を整えたら完成。
私も十数年ぶりに、この作業を行いましたが、やはり身体が覚えているものですね。
そして、自分の製作物に活かしてみたい技術だと感じました。また、様々に試してみたいと思います。

湯沸の弦は、強度を持たせるため、また熱さを逃すために、中空構造になっています。
その製作も、ゲージを使ってのまた切り出しから。

鉄の棒と溝を使い、ある程度のきっかけをつくり、あとは木槌で丸め、形をつくってゆきます。

繋ぎ目を銀ロウで溶接し、錫を溶かして流し込みます。錫を流し込むことで、安定した成形ができるようになります。

上がり盤とゆう欅の盤にちょうど良い穴が空いており、その穴を使いながら丸みをとる。

あとは、本体と擦り合わせをし、穴を開けたら取り付け可能。
この本体の接合部とのバネの聞かせ方も、職人の個性が出ます。長年使ってもヘタレないような程よい取り付け具合で、仕上げに。

籐の弦を巻いて完成となります。

鎚起銅器といえば、この色。と言われるくらいに代表的な色として広まっている金古色。なんと表現していいのか、光の当たり加減で青色にも緑色にも見える、所謂ところの玉虫色。
この色を出すためには下地づくりが大切で、錫の焼き加減が重要になってきます。
私は、表札にしか金古色を使っていませんが、このような下処理や道具の整備を今年は行ってゆきたいと思い、ひとつひとつ整理してゆきます。
金古色の見本は、このような色合いです。

金古色下処理。
まずは、材料を切り出し、錫を塗る。
この時点では、普段作っている盆などの月色表面処理と同じ工程。

この後が重要となり、月色の場合はバーナーのみで銅板に錫を焼き付けますが、金古色の場合は炭の上で焼き付けます。
私の考えでは、この炭素が重要と考えます。
大きな銅器屋さんでは、コークス炉があり炭ではなくコークスで焼き付けます。
高温が必要とゆう面もありますが、刀鍛冶がワラ灰を使うと聞きますが、そのような原子同士が溶着する際に必要なものなのかもしれません。

こちらの四角い七輪は、能登切り出し七輪。
良き道具は、気持ちよく仕事をさせてくれます。
詳しくは、こちらの過去blogをご覧ください。
「奥能登旅 七輪編」
https://tsuiki-oohashi.com/2020/09/12/4135/

焼き付けた後の図。

この時点でも、大体の成功具合はわかりますが、やはり綺麗にしてみるまでは、確信をもてません。
酸化膜を落とし、綺麗に磨いたらすっきり。これで表札の製作に実製作にはいれます。
表札製作の部分につきましては、こちらのblogにてご覧ください。
https://tsuiki-oohashi.com/2019/01/06/2347/

今年は腰を落ち着けて、様々なことを試し、このような探求を進めてゆきます。

鎚起銅器の仕上げにおいて、漆をかけることがあります。
何故、漆をかけるのか。
色艶に深みを増し、堅牢な色となります。

仕上げの内容としては、普段と同じように、器が完成したら綺麗に磨き、硫化カリュウムの水溶液の中に漬け込むことによって黒くします。

その後、艶を出すように磨き込み。
緑青硫酸銅の水溶液を沸かし、2分ほど銅器を煮込みます。

よく乾かし、ゆるく熱しながら漆を伸ばし塗ってゆきます。
全体的に漆が行き渡ったら、ムラの無いように全て拭き取り、その後、釜を被せて最弱の弱火で1時間。

最後にイボタ蝋とゆう純粋な蝋を塗ることで、艶がまします。
この辺りは、普段の銅器と同じ最終工程。
漆を塗ることで、深い艶感がでてきます。
今回は水盆とゆうことで、水滴などの後が出にくいように、このように漆をかける作業を入れました。
その使い勝手によって、鎚起銅器製作工程も幅をもって進めてゆきますので、ご相談ください。

新潟市秋葉区の三方舎さんよりご依頼いただき、ギャラリーの看板製作をさせていただきました。
今回は、その製作工程をお伝えいたします。
先ずは、打ち合わせし大きさを決め原稿をいただきます。
今回の看板はパソコンデータでいただきましたが、特に決まった書式があるわけではなく、紙媒体に手書きでいただいても対応することは可能です。
三方舎さんからいただいた原稿を反転し、柔らかくした銅板にロゴを写します。この度の看板は40センチ×50センチ。

銅の看板づくりや表札は、先ず裏側から文字を打ち出し、その後、表側から表面を整える工程。この黒い物体は松脂といい、油と砥の粉と煤が混ざったもので、熱すると柔らかくなり冷えると硬くなる性質があり、コンロで何度も温めながら、徐々に文字を打ち込んでゆくとゆう作業が続きます。

こちらの鏨とゆう道具も、鉄の棒を加工し50本以上の種類を使い分けます。

おたふくと言われるハンマーも数十グラムの重さの違いで、削ったり穴を開けたりと自ら製作したもの。

裏面完成。

表面に付いた松脂を綺麗に落としてから、地模様を叩き入れ、今度は表側から整えるように文字の表面を鏨で整える。
1センチほど折り込み立体にし、四隅を錫で固めたら形は完成。仕上げに入ります。

形が完成した看板を綺麗に磨き込んだら、硫化カリウムをお湯に溶かしたものに漬け込み真っ黒にし。
文字部分を磨き出し。

緑青硫酸銅の混合液で1分から2分煮混むことで玉虫色に発色します。

こちらで看板が完成。今回は、外壁に設置されるとのことなので、段々と緑青が吹き、徐々に緑色が濃くなってゆくかと思います。度々訪れられる場所だけに、三方舎さんでどんな風に育てゆくのか、ご覧いただけたら幸いです。

久々に動画を撮ってYouTubeにupしてみました。
鎚起銅器に於ける「均し」作業です。

銅鍋づくり体験では、「皆さんに入れてもらう鎚目は模様のようなものなので
入れても入れなくても良いです。」とお伝えしていますが、普段の製作ではほぼ金鎚で製作するので、金鎚の跡は必然的についてしまうものです。

それを最後に小さい金鎚で叩き整える作業を「均し」と言います。読んで時の如くといいますか、成形段階では大きな金鎚でガンガンと叩いて進めるので1ミリほどの中でも厚みに差がでます。その差を叩き整えるので「均し」とゆう作業です。

以前の彫金がメインの鎚起銅器製作の際には、この鎚目を全部削り落とし、彫金模様を施していました。

ですので、皆さんにお伝えしている銅鍋づくり体験での鎚目入れは、やっぱり模様入れとゆう表現だなと振り返る午後です。
金鎚が平らに落とせるようになるまでは、錫の塊を叩いて平らにしては鉄鍋で塊に戻し、また叩くとゆうことを仕事終わりに1週間続けました。
入社して最初に、金鎚との関係性を覚える修行の始まりです。

一枚の板から打ち、立ち上げる鎚起銅器の特徴の一つに、底を張り出す作業があります。大学などで教える鍛金の授業ではこの作業はなく、この地方独特のもののようです。
この底を張り出す作業は、作業を速めやすい、材料を節約しやすいとゆうような特徴があるかと考えます。

その分、形を捉え難いとゆう面もあるようです。
作業内容としては、こちらの動画をご覧ください。

今回は、湯沸の製作の一部です。

燕市の建築士 金子勉さんにお声がけいただき、ご自宅の洗面器のご相談をいただいたのが、昨年の10月。建築士さんのご自宅とゆうことで、様々な試みを取り入れられている中のひとつとして、地元の鎚起銅器を選んでいただきました。
今回は、設計図を拝見しながら、大体の洗面器の大きさや高さ以外は全てお任せのご依頼。普段から私の仕事を知っていただいているだけに、私も安心して引き受けさせていただきました。
ご依頼をいただいてから、頭の中で様々に想像を膨らませながら、年を跨ぎ、この春に現場を拝見。想像は膨らませていたものの、据え付ける場所を実感したお陰で、一枚板の上にぴったりとくる形が思い浮かびました。

まずは、材料の発注。
今回は、一枚板の迫力に応えられるように、普段よりも厚い2ミリの材料での製作。普段は0.8ミリから1.2ミリの材料厚なので、重量も倍近い材料となりました。365ミリ×600ミリで約4キロの重み。四角いまま製作を始めます。

鎚起銅器とゆうと、一枚の板を打ち縮めて形をつくりますが、今回は厚みもある材料なので、大きな金鎚で底面を打ち伸ばしながら、大きさを出してゆきます。
普段は使わない、このような大きな金鎚で。

そして、四隅は、いつものように打ち縮めて、絞って高さを出してゆきます。

四隅の角を切り落とし、いつものように叩いて固くなったら、焼き鈍しをして柔らかくするを繰り返す。高さが徐々に出てきます。

形が完成したら、排水口部分の打ち出し。
これだけの大きさの銅器だけに、バランスを取るのが難しく、身体全体で支えながら製作は進みます。

もう一度、現場に伺い、蛇口や板とのバランスを取り、穴の位置決め。こちらも、徐々に打ち出し。

ステンレス製の排水溝と擦り合わせをしながら、穴開け。
その後、最後の微調整を行い、排水溝は完成です。

最後に、洗面器の淵に鑢をかけ、四角板から製作した縁の変化を残しながら、丸みも出しながら、きりりと引き締めて。
銅器そのものの素材を活かす色に仕上げをしたら完成。

想像はきっちりとしていても、やはり、現場に収めることで、ほっとするもの。
鎚起銅器の技術を織り込む四角い初めての洗面器が仕上がりました。
お題である一枚板に、銅器の厚みが応えてくれました。実際に観ていただくと画像では伝わらない迫力が感じていただけると思います。

全てお任せとゆう依頼で、このような機会を与えてくださった建築士金子さんの新しいお宅には、様々なアイディアが詰め込まれており、完成が私も楽しみです。
是非、金子さんのHPをチェックいただき、その姿をごらんいただけたら幸いです。