日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

カテゴリー〈 製作 〉

片口製作

2019.01.18

鎚起銅器などを含む、金属酒器の特徴は材料の薄さ。
特に片口と言われる注器では、口が付いている為に
その特徴がとても感じていただけ、水切れがとても良い器になります。
片口の打ち出しは、このような工程で進みます

先ずは
形をほぼつくり終えたところで口の目安を鉛筆で書き出します

その後、5種類の当て金、4種類の金鎚、3種類の木槌を使い、前方に打ち出してゆきます。

木槌で整え、金鎚で凸凹を均し、固める。

その後、全体を金鎚でならし、バランスを整えて、形は完成となります。
この際の、口の形には、それぞれの職人の特徴やセンスがでます。
いろんな形の、片口があります

また、取っ手を付けた、ちろり。
熱の伝導率の良い銅の特徴により、全体的熱が伝わり
お酒の温度を平均的に温めます

こちらの動画は片口の水切れの良さを確認する作業。
このように、ひとつひとつ水切れを確認しながら、片口製作は進みます。


銅器は、色艶などが成長する器として、その佇まいがありますが
このように機能面でも生活の中で活躍してくれる器と思います。
新潟市鍛冶小路にある、Bar Book Boxさんのご協力で
各種イベントで、銅器を体験していただける機会を増やしております。
是非、ちろり体験を実感していただけたら幸いです。

日本各地を訪れ、銅器をお伝えする中で
緑青のご質問を受ける機会が多いので
こちらにも書かせていただきます。
以前は、緑青はその色などの影響でしょうか
猛毒と思われていた時期がだいぶあります。

しかし、昭和59年に東京大学の医学部が無毒を証明し
安全であることが確認されました。

「そもそも、緑青はなんなのか?」とゆうことですが
一言にすれば、銅の錆です。
寺社仏閣の屋根や大仏、アメリカの自由の女神なども
この銅の錆により、あの様な色になっています。
屋根に使われる理由としては、緑青は銅の保護膜となり
合金になることで硬くなります。

 こちらの画像は、一緒に働いていた後輩の作品です。
このように、緑青を出すこともあります。

「緑青は、何故発生するのか?」に関しては
汚れがついたまま、放置しておくと発生します。
ですので、花瓶などは時々、柔らかい布で乾拭きをしたり
銅鍋などは、お使いいただいた後に、洗った後に水滴を拭き取ってあげると
一番いいお手入れ方法かと思います。
特に、乾煎りしたり、油をひいておく必要はありません。

「もし、緑青がでたら?」
割り箸などで、擦りとってあげ、また使い続けていただけたら
銅の使い込んだ色は戻ってきます。
一番、有りがちな状況としては
桐箱に入っている銅器を、お客様の来られた時にだけ使い
汚れがついたまま、桐箱にしまいこんでおいて、緑青がでていた。
とゆう話しは、聞くことがあります。
一番いいお手入れは、日々使ってあげること。
鎚起銅器では、仕上げの際に表面を安定的に酸化させることで、あの色を出しています。

あの地の色があるお陰で、表面の艶やかさや深みは、一層増すことになります。
詳しくお知りになりたい方は、日本銅センターのHPをご覧下さい。

日本銅センターHP
http://www.jcda.or.jp/recruit/tabid/87/Default.aspx
古来から、人類と身近な銅器。
是非、使い込み、ご自身なりの色や風合いを楽しんでいただけたら幸いです。

表札製作

2019.01.06

集い安らぎの場所となる大切な家。
そのお宅の顔に成る表札製作の制作風景です。

この度は、いつもお世話になっている
新潟市北区松浜の建築事務所 nico様のご自宅の表札製作。
nico様 HP http://www.atelier-nico.com

おじい様の書を表札にしたいとのご依頼。
このように書いていいただいた文字を表札にすることも出来ます。
先ずは、文字を反転させて、銅板に写し込みます

その後に、松ヤニとゆう、あたためると柔らかくなり、冷めると固くなる性質を持つ道具に銅板をつけ、松ヤニをあたためながら、鏨で打ち込みます。

鏨。
鉄の棒を自分で削り様々な形をつくります。

数十本の鏨を、その模様によって使い分けます。

裏部からの鏨作業の完了。

銅板を外した後の松ヤニ。
裏面からの鏨作業の後は、逆に松ヤニに銅板を付け、表面から凸凹を抑える様に鏨で均します。
均しの後は、1センチ程、四方を曲げて、立体にします。

形が完成したら、硫黄の成分で黒くし。

文字の部分だけを磨き出し。

全体を艶を出す様に磨き、緑青硫酸銅の混合液で煮込み、色を定着させ、完成です。

お宅と共に、家族と共に成長してゆく銅の表札。

その風合いの変化も楽しんでおいた抱けたら幸いに思います。

鎚起銅器の技術が詰まっている湯沸。
口をすぼめたり
淵を巻き込んだり
取っ手や口や蓋などの小道具と言われるものの擦り合わせなど
湯沸には、様々な技術が詰まっています。
ですので
一生物の鎚起銅器の中でも
この湯沸が私の一番のお勧めの器です。

​​湯沸のことを知っていただきたく
実験をしてみました。
銅湯沸でどれくらいの時間でお湯が沸くのか
どれくらいでお湯が冷めてゆくのかの実験。

カセットコンロの上で水 1.5リットルを入れ
95℃まで沸かすのに9分18秒かかりました。
そして
5分後には89℃に
10分後 85℃
15分後 81℃
20分後 77℃
25分後 73℃
30分後 71℃
40分後 65℃
50分後 61℃
60分後 58℃
と変化をしてゆきました。

また、0.5リットル沸かすのには3分44秒。
次回は、他の素材との比較をしてみたいと思います。
銅は熱伝導率が良いので、温まり易い素材と言われています。
ただ、「温まり易いだけに、冷め易いのでは?」とゆう疑問も生まれます。
銅が温まり易く冷め難い性質は、熱容量と関係があるようです。
熱容量とは、比熱×重さではじき出される数値。

 比べていただくと
熱伝導率の違いによって、
普段お使いになっている銅と鉄の鍋やフライパンの温まり方の違いが
数値でもご理解いただけると思います。
また
アルミニウムも熱伝導率が良く比熱も高いのですが
比重が小さい為に、厚い材料なら熱容量が得られるとゆうことになります。
このように、私も本日、数値で学んだ事を
実地に活かしてゆきたいと思います。
銅の材料の厚みを、湯沸や鍋、フライパンなど
道具の使われ方、活かし方によって、更に的確に変えてゆきたいと思います。
また、今日のお昼に解凍したお肉。

 こちらも、銅鍋の中にいれて、放置しておくと、ディップが出ません。
きっと、これも銅鍋の熱伝導率や熱量料の効果なのだろうと思います。
是非、みなさんも実感していただけたら、幸いに思います。

ご自身で、一日をかけてつくる、銅鍋づくり体験も、毎月1回。
三条ものづくり学校様にて開催中です。
また、お仲間を集めていただけて、音が出せる環境がありましたら
道具を積んで、全国各地に赴かせていただきますので
お気軽にお問い合わせ下さい。