日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

カテゴリー〈 製作 〉

最近、制作したものを、徒然にupしてゆきたいと思います。
時々、お付き合いいただけたら幸いです。

問 tou OPEN

2019.04.19

昨日、4月18日木曜に
長野県東御市にOPENした問 tou
同じく東御市にあるパンと日用品のお店わざわざの次のお店。
店主の平田はる香さんとは
地元燕市のツバメコーヒーでのトークイベントで、数年前にお会いし
度々、そのイベントに参加させてもらっていました。
あまりにも、トークに感動し、カップを贈り物にさせてもらったのが
ご縁の始まりかもしれません。

それから、イベントでお会いするくらいでしたが
今回の新店舗にはギャラリー機能も持たせたいとのことで
私にもお声がけいただきました。

お盆や豆皿、カップとともに
カフェで使われる湯沸もつくって欲しいとオーダーいただき
沖縄のパナリ焼と言われる焼き物の雰囲気を、銅器でだしてほしいとのことで
他はお任せでと。
完成品は、このような形に。
30リットルは入る突き抜けて
今までに無い形をつくらせてもらう機会となりました。
このように仕事をいただくことで
新しい技術も身体に染み込ませることができます。

始まりは、1ミリ70センチの銅板から。

普段は、440グラムほどの金鎚を使い形を作ってゆきますが、今回は880グラムとゆう重めの金鎚で製作。
未知の世界への挑戦となりました。
今回は、動画を撮りましたので、長いですが本当にお時間のあるときにご覧いただけたら幸いです。

今回は、カフェ、本、ギャラリーと
非日常をじっくり楽しめる空間が出来上がっています。
そして、店名に掲げてあるようにお客様が問われる
そんな時間にもなることでしょう。
コーヒーは、ツバメコーヒー店主が考案した「問 touブレンド」
試飲させてもらった際にも、そのブレンドの仕方が彼らしく
面白く美味しい深みのある味でした。

大自然に囲まれた問 tou。
是非、時間に縛られることなく、ゆっくりと過ごし
日々に、感じられない何かを感じていただけたら幸いです。
ご来場を心より楽しみにしております。

この度は、燕で職人をされている同世代の方から
新宅を建てられたとのことで、表札をご注文いただきました。
折角だから、地元のものをとネットを探して
私に辿りついていただけたようです。
このように、ご縁が繋がることとても嬉しく思います。

先ずは、文字の選定をしていただき
反転して転写するところから始まります。

そして、裏面からタガネとおたふく(金鎚)を使い
徐々に徐々に、形をとってゆきます。

裏面からの打ち出しが終わると
一旦、松ヤニ台から外し、表面を綺麗に洗い
逆に取り付けて、表面を均し整えます。

そして、角を切り取り四面を3分(1センチ)ほど折り曲げて
硫化カリウムで仕上げをしたら完成。
この硫化仕上げは、燕独特の技法で、濃紺の深みが増してくる色ですし
風雨にさらされれば、緑青のよい色がでてきます。

お宅の顔として、長年の成長を楽しんでいただけたら幸いです。

昨年、移転リニューアルされた
新潟市中央区東堀通9番町にある、「吟」様。
お店を新しくされる際に、看板作りをさせていただきました。
その看板製作の模様をお伝えさせていただきます。

まずは、材料の切り出しから。
折り返しも分もあり、6分ほど大きめに切り出します。

焼き鈍しをし、柔くしします。
その後に、錫を平らに塗り、バーナーで焼き付けます。

裏面に、反転したロゴをなぞり、写し取ります。

松ヤニとゆう道具は、温めると柔らかくなり、冷めると硬くなるとゆう性質があり、看板製作などの打ち出しの場合は、コンロの上であたためては、彫り込むことを繰り返します。

徐々に、徐々にと輪郭を取ってゆきながら、全体に落とし込んでゆきます。


松ヤニから外し、灯油で綺麗にした図。
これから、表面を整えてゆきます。

松ヤニから外した図。
これだけを見ると型があるように思われますが、全て、手の感覚で打ち込みます。

この後に、四方を織り込み、奥行きをつけて、仕上げをしたら完成。
入り口右側の壁面へと、取り付けさせていただきました。
是非、実際の姿をご覧いただけたら幸いです。

お料理に合わせて、熱燗を選んでいただき、そのハーモニーを楽しませていただいています。
締めは、蕎麦で。
新潟を代表する、和のお店です。

「吟」
〒951-8065 新潟市中央区東堀通9番町 1402-2イーストモート1
月~土 17:00~23:00(L.O.22:00)
日・祝日 15:00~22:00(L.O.21:00)
不定休

私の地元、新潟県燕市吉田地区。
この街は、工場の多い燕市のベットタウンとして
とても穏やかな空気を持った街です。

私もこの道に入り、玉川堂の近くに移るまでの22年間を、この吉田町で過ごしました。この街で左官業を営んでいる同級生の関川さんに表札のご依頼をいただき、先日、納めさせていただきましたので、その模様をお伝えします。

まずは、材料から。
表札に使う、玉虫色の銅は、紫金色と呼ばれ、錫を焼き付ける際に、味噌などを付けながら焼く、特殊な方法で材料にします。

裏面は、銅のままの材料です。
裏側に、反転させた文字の輪郭を、写し取ります。

松ヤニ台とゆう、あたためると柔らかくなり、冷めると硬くなる性質のある道具を使と、鏨とゆう何十種類もある鉄の棒と、金鎚を使い徐々に、時々、コンロであたためながら彫り込んでゆきます。

裏面の工程が終わり、灯油で綺麗にあらったら、今度は表面から整えるように、軽く鏨で均してゆきます。
整えたら、四方を折り込み、立体にし奥行きを出したら仕上げに入ります。

仕上げは、硫化カリウムとゆう、温泉の硫黄の成分に近いものをお湯に溶き、漬け込んで真っ黒にしてから、磨き上げます。
磨き上げることによって、文字の部分だけが金色に浮かび上がってきます。
緑青硫酸銅の混合液で2、3分煮込んだら定着。
表面にイボタ蝋とうう、純粋な蝋を塗ったら、完成。

玄関の顔として、御宅の成長とともに、表札も風合いが増してきます。
この色は、緑青が出てきて、落ち着いた色がでてきます。

依頼主の関川さんは、左官職人です。
打ち合わせの際に、仕事場に寄せていただきましたが、ご自身で塗られた壁の完璧さに、その腕の磨く修行の凄さを感じました。
このように、同級生で職人として活躍されている姿に励まされ、私も更に更に精進する励みとなりました。
記念の表札として、心に刻みたいと思います。

昔ながらの技術には、理由があります。
生活を豊かに過ごすための塗り壁。
私も、いつか家を建てる時には、この壁でと、目標ができました。
是非、関川さんのHPも素晴らしいので、ご覧いただけたら幸いです。

関川左官工業 HP
http://sekikawasyagan.com/sekikawa.html

湯沸の蓋も一枚の板から出来上がります。
本体に合わせ、少しずつの擦り合わせ。
鍔をだしたりとゆうところが、この蓋づくりの醍醐味です。

先ずは、いつも通りに、板を切り出し
打ち上げてゆきます。

先につくった湯沸の本体に合わせて、だいたい同じ位の大きさになったら
鍔を出してゆきます。

徐々に徐々に。
湯沸かし本体とのバランスを見ながら、鍔の出方を調整してゆきます。

丸みを整えて、完成。
手順としてはシンプルですが、この擦り合わせに要する時間は多く
経験がものをゆう作業となります。
先日の、湯沸の口作りのblogなどの小道具と言われるパーツを組み合わせ湯沸は出来上がってゆきます。
小道具のバランスで、その職人の特徴がでる湯沸。
生活での使い勝手も含め、1番のオススメの銅器です。

先日
お客様のご注文で銅のぐい呑に
銀メッキや金メッキを施すそんな器を作らせていただきました。
初めてのことで様々な勉強が必要でしたが
仕上げてみると今までの錫を手でメッキしていたものと違い
電気メッキの処理でぴったりと全体に塗膜ができているようです。

手での錫メッキですと、細かい気泡ができており
銅の効果も表に現れると言われています。

変わりに、この電気デッキですと、銅特有の香りが気になる方や
お酒の味が変わることを好まれないお客様には
こちらをお勧めしたいと思います。

銅の素材感や鎚目、肌触りなどはそのままに
それぞれの役割で、特徴をお伝えしながら選んでいたける
またひとつ幅が広がりました。

この様に、今年は基本的な鎚起銅器の技術を大切にしながら
今までの鎚起銅器の枠にとらわれずに
様々に素材との対話や新しい技術を取り込んでゆきたいと思います。

今年の1月半ばより
鎚起銅器職人志願の26歳男子を、弟子として引き受けることになりました。
年齢で言えば、職人としては遅い始まりかもしれませんが
そこをカバーするのは、熱意と絶えず繰り返し繰り返すこと。
技術の練磨は、頭を使い、身体を活かすことで
いくらでも差は埋められると思います。

きっと、鎚起銅器は誰でも習得できる技術と思います。
ただ、そこに行き着くまで練磨できるか、辞めてしまうか
その環境をつくれるか次第なのだろうと思います。
まだまだ、始まったばかり。
これからの成長を、より多くの方に支えていただけたら幸いです。

職人としての修行の始まり
今は、材料を切ったり、鑢(やすり)がけをしたりと
下仕事を覚える段階。
この仕事を増やすことで、腕も上がると思い企画をしました。

豆皿1000本ノック。
豆皿は、材料を切り出す。

銅板に錫を塗る。

錫を焼き付ける。

そして、私が成形後、形を整えるために鑢をかける。
そんな下仕事があります。
まだまだ、金鎚を持つには、時間がかかると思いますが
金鎚が持てるまで、彼にはこの下仕事が糧となります。

この「鎚起銅器職人を育てる豆皿」を
是非、多くの方に手にしていただけたら幸いです。
つきましては、2月4日月曜日より、この豆皿を販売いたします。

お名前、ご住所、お申し込み枚数をご記入の上、お申し込みください。
豆皿の形は多様ですが、形はこちらで選ばさせていただきけたらと思います。https://tsuiki-oohashi.com/contact/

これからの燕三条の技術を支える職人
応援のほど、心よりお待ちしております。

鎚起銅器の技術が詰まった湯沸。
2回目は、胴体のお水を注ぐ部分の縁巻き。
湯沸製作では、取り回ししやすいように0.8ミリとゆう材料を使います。
その分、縁の強度が落ちますので、
縁巻きをすることにより、強度を増すことができます。

先ずは、胴体部分を完成させ、縁巻きをしたい部分に線を引きます

木槌を使い徐々に曲げてゆきます。

先ずは、まっすぐ90度に。

当て金と、金鎚を使い、ぐるりと巻き込みます。
あとは、ヤスリで整えて完成となります。
シンプルなだけに、失敗すれば、全てが駄目になる作業になります。
手をかければ良いとゆうわけではなく
さらりと一気に形にする、職人の腕の見せ所でもあります。

鎚起銅器の技術が詰まっている
と言われる湯沸。
それは、本体とは別に様々な小道具と言われる
口や鉉、耳や蓋など
様々なパーツを組み合わせることによります。

その中でも、職人の個性が一番出ると言われるのが
この口作りです。
その口を見れば、どの職人がつくったのかが分かる
と言われ
友人が古道具屋で見つけてきた湯沸が
父のつくったものだと判断できたのも
その口の形でした。
そんな口作りを、今回はお伝えいたします。

先ずは、板にゲージで型取り
切り出すところから始まります。

そして、小さな当て金と木槌を使い
巻き込こみます。

背中をぴったりと合わせ
銀ロウとバーナーを使い溶接します。

再度、小さな当て金と木槌、金鎚を使い成形します。
この際には、当て金を10本ほど
木槌を1本、金鎚を5本ほど使います。

この後に、口の中に錫を引き
ヤスリで整えたら、湯沸の胴体にはめ込んで
湯沸の一部となります。