日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

カテゴリー〈 製作 〉

弦巻き

2020.02.08

鎚起銅器の職人は、一から十までを一気通貫できるようにと、修行場ではおしえていただきます。
材料切りから、仕上げまでは当然のことながら、お客様とのやりとりをさせていただく中での発見も、職人としての大切な感性を育める機会と思います。
そして、そのような場は、とても大切だなと感じます。

普段、湯沸や急須を手にとっていただいたお客様から、この弦は、どうなんですか?と、お聞きいただくこともあります。こちらも私自身が巻いております。
弦の製作では、板を丸め、隙間を溶接します。
溶接した後に、木槌や金鎚を使い整え、その後、手の感覚で弦を曲げ形にしてゆきます。仕上げた後に、弦巻へ。

このように、飾り模様を巻きつくることを、峰を立てるといいます。

峰を立て、本体に取り付けて完成。

この籐の弦は使い込むほどに、茶が深くなり艶が増してきます。
この茶深艶も使い込むことでしか出てこない色となります。
一から十まで、一気通貫することで、お直し対応もスムーズに行えます。何か気になることや、使っていただく上でお困りのことなどありましたら、お気軽にご相談ください。

只今、西日本ツアーの真っ最中。
神戸での銅鍋づくり体験が終わり、明日からの福岡での銅鍋づくりへと、今回のツアーも、着実に歩を進めております。

いつも、九州へ銅鍋づくり体験で赴く際には、門司港のホテルで行き交う船を眺めながら、今後のことを考えることが、一つの儀式のようになっております。今回も2泊3日でホテルに籠り、来年のことを考えています。

そのひとつとして、今後は銅のカップを定番から外します。
一番身近に感じ、確かに毎日使うものではあるのですが、それを鎚起銅器の入門編として提示するのが、よいことなのだろうか?と考えた末に。
銅は熱伝導率がよく、その特性を活かしたものとして、湯沸や銅鍋は重宝します。その反転として、カップに冷たいものを入れた際には、汗をかいてしまうのです。それが良いのかどうか。とゆうことをずっと考えていたのです。

ですので、鎚起銅器入門編としては、ツバメコーヒーさんが企画デザインしてくれた、盆をオススメしたいと思います。
こちらも、日々のお料理を楽しんでもらう際には、冷やして使っても良いですし、少し、あたたかくして使っても良い器。サイズも5寸から1尺1寸まで、1寸刻みで製作しています。

また、最初に鎚起銅器の技術がたくさん詰まった湯沸から始めてもらえたら、その特性を存分に感じてもらえるものと思いますが、そのハードルが高い場合には、鍋も200年前と変わらずに生活に適した器としてご活用いただけると思います。

しかし、やはり入門編とゆうことで触れていただく為には、どんなものが鎚起銅器の特徴を活かしつつ、身近に使っていただけるかを、これから更に考えて試作をしてゆきたいと思います。
また、体験とゆう形で、銅鍋づくりをしていただき、ご自身の手で生み出した道具から始めていただけることもよいかと思います。ご自身の手で、ご自身のつくりたい形を生み出す。そんな銅鍋づくり体験も、引き続き開催し続けたいと思います。
1日かけて1枚の銅板からつくる銅鍋づくり体験の模様はこちらから
銅鍋づくり体験 in新潟
2020年も3月から11月にかけて、日本各地で銅鍋づくり体験を主催してくださる場所に伺います。
詳細につきましては、銅鍋づくり体験についてをご覧ください。

とはいえ、カップの手触りやその特徴をご理解いただき、ご要望があればお作りいたしますし、新潟市東中通一番町にあるBarBookBoxさんのように、カップやチロリを実感していただける店舗もございますので、是非、そちらに足を運んでいただき、カップをお使いいただき、ご納得の上で形など店主に相談していただけたら、私も製作しがいがあるものです。

「カップは鎚起銅器の入門編としてはどうなのか?」とゆう問いから、このような形になりましたが、引き続き、鎚起銅器を通して想像力を育んでいただけるように、出張から帰り次第製作に励みたいと思います。
そして、工房で製作に励みつつ、各地に赴き鎚起銅器をお伝えすると共に、見聞を広め、今の器作りを続けてゆきます。

12月4日水曜日、関門海峡臨むホテルにて。
鎚起銅器職人大橋保隆

いつもお世話になっているヒメミズキさんを通して、新潟市にあるキューブデザインさんからご依頼をいただきました。
妙高市にできる住宅の大きなランプシェード。
大きなダイニングテーブルを光で包み込むような、ご家族で集われる場所に溶け込むようなランプシェードとゆうことで、初めてのサイズ製作となりました。
140センチ×50センチ×h25センチ
まずは、製作の風景から。

1m×2mのメーター板と言われる、材料の中で一番大きな板からの切り出し。

このご相談をお受けした際には、一人でつくるのは難しいかなと思っていたのですが、気の合う者との共作でないとうまくゆかないと思い、一人での製作に挑む形に。
工房でも、父の上り盤と私の上がり盤を両方使っての製作。

相談の結果、部屋の色とのバランスで、土色の外側と、光の反射を考えて内側は月色にするため、平らなうちに錫引きへ。
普段なら、バフで綺麗に磨けるものも、この大きさになると、手作業となり、全身を使う作業の始まり。

内側から叩き込み、モクモクとした湧き上がるようなイメージで、形をつくってゆきます。

形が完成した後に、外側から、普段は大きく形を変える時に使う金鎚で、外側から叩き締め、形の整えます。
キューブデザイン さんと相談しつつ進める今回のランプシェードは、自分の頭の中で完成させるよりも、相談の中で形が出来上がりました。
この波を残すのもそうで、職人としてよりも、作家性を重視して、普段の自分の仕事から少し離れたところで、完成を目指していました。

吊るされる前のランプシェード。
空間に収まるまでは、私の想像を託す形となります。

と共に、内側の細工も製作。

光が前面に出ないように、反射板も製作。
10年位経った後、ライトも交換できるようにと、考えを巡らせます。このあたりの設計を考えるのも好きなのだなと感じた、今回の仕事です。
本体と反射板の組み合わせ、それが天井から吊るされ、何十年とご一緒するための設計。

吊るされている画像をお送りいただき、空間に溶け込んでいることを確認できほっと一息。

そして、今回は完成見学会もあり、ヒメミズキさんのコーディネートがされている中で、想像も膨らみます。
25日には、私も足を運ばせてもらい、いろんな角度からランプシェードを確かめて、ほーーーーっと一息つくことができました。

今回の経験をさせてもらい、設計された方との交流の中で、建築と工芸について、改めて考える機会をいただきました。
工芸や美術は、建築とゆう空間づくりの中から派生したものと考えています。
その空間の中で、どうものづくりが活きるのか。
また、ひとつ言葉に落とし込めるように考えたいと思います。

今回、このような貴重な機会をあたえていただきました、キューブデザインさんありがとうございました。
そして、いつもご縁を繋いでくださるヒメミズキさんに、心より感謝致します。
こんな感性を持たれる、キューブデザイン さんの完成見学会も各地で行われるとのことですので、是非、足を運んでいただき、実感していただけたら幸いです。

最近、制作したものを、徒然にupしてゆきたいと思います。
時々、お付き合いいただけたら幸いです。

問 tou OPEN

2019.04.19

昨日、4月18日木曜に
長野県東御市にOPENした問 touは
同じく東御市にあるパンと日用品のお店わざわざの次のお店。
店主の平田はる香さんとは
地元燕市のツバメコーヒーでのトークイベントで、数年前にお会いし
度々、そのイベントに参加させてもらっていました。
あまりにも、トークに感動し、カップを贈り物にさせてもらったのが
ご縁の始まりかもしれません。

それから、イベントでお会いするくらいでしたが
今回の新店舗にはギャラリー機能も持たせたいとのことで
私にもお声がけいただきました。

お盆や豆皿、カップとともに
カフェで使われる湯沸もつくって欲しいとオーダーいただき
沖縄のパナリ焼と言われる焼き物の雰囲気を、銅器でだしてほしいとのことで
他はお任せでと。
完成品は、このような形に。
30リットルは入る突き抜けて
今までに無い形をつくらせてもらう機会となりました。
このように仕事をいただくことで
新しい技術も身体に染み込ませることができます。

始まりは、1ミリ70センチの銅板から。

普段は、440グラムほどの金鎚を使い形を作ってゆきますが、今回は880グラムとゆう重めの金鎚で製作。
未知の世界への挑戦となりました。
今回は、動画を撮りましたので、長いですが本当にお時間のあるときにご覧いただけたら幸いです。

今回は、カフェ、本、ギャラリーと
非日常をじっくり楽しめる空間が出来上がっています。
そして、店名に掲げてあるようにお客様が問われる
そんな時間にもなることでしょう。
コーヒーは、ツバメコーヒー店主が考案した「問 touブレンド」
試飲させてもらった際にも、そのブレンドの仕方が彼らしく
面白く美味しい深みのある味でした。

大自然に囲まれた問 tou。
是非、時間に縛られることなく、ゆっくりと過ごし
日々に、感じられない何かを感じていただけたら幸いです。
ご来場を心より楽しみにしております。

この度は、燕で職人をされている同世代の方から
新宅を建てられたとのことで、表札をご注文いただきました。
折角だから、地元のものをとネットを探して
私に辿りついていただけたようです。
このように、ご縁が繋がることとても嬉しく思います。

先ずは、文字の選定をしていただき
反転して転写するところから始まります。

そして、裏面からタガネとおたふく(金鎚)を使い
徐々に徐々に、形をとってゆきます。

裏面からの打ち出しが終わると
一旦、松ヤニ台から外し、表面を綺麗に洗い
逆に取り付けて、表面を均し整えます。

そして、角を切り取り四面を3分(1センチ)ほど折り曲げて
硫化カリウムで仕上げをしたら完成。
この硫化仕上げは、燕独特の技法で、濃紺の深みが増してくる色ですし
風雨にさらされれば、緑青のよい色がでてきます。

お宅の顔として、長年の成長を楽しんでいただけたら幸いです。

昨年、移転リニューアルされた
新潟市中央区東堀通9番町にある、「吟」様。
お店を新しくされる際に、看板作りをさせていただきました。
その看板製作の模様をお伝えさせていただきます。

まずは、材料の切り出しから。
折り返しも分もあり、6分ほど大きめに切り出します。

焼き鈍しをし、柔くしします。
その後に、錫を平らに塗り、バーナーで焼き付けます。

裏面に、反転したロゴをなぞり、写し取ります。

松ヤニとゆう道具は、温めると柔らかくなり、冷めると硬くなるとゆう性質があり、看板製作などの打ち出しの場合は、コンロの上であたためては、彫り込むことを繰り返します。

徐々に、徐々にと輪郭を取ってゆきながら、全体に落とし込んでゆきます。


松ヤニから外し、灯油で綺麗にした図。
これから、表面を整えてゆきます。

松ヤニから外した図。
これだけを見ると型があるように思われますが、全て、手の感覚で打ち込みます。

この後に、四方を織り込み、奥行きをつけて、仕上げをしたら完成。
入り口右側の壁面へと、取り付けさせていただきました。
是非、実際の姿をご覧いただけたら幸いです。

お料理に合わせて、熱燗を選んでいただき、そのハーモニーを楽しませていただいています。
締めは、蕎麦で。
新潟を代表する、和のお店です。

「吟」
〒951-8065 新潟市中央区東堀通9番町 1402-2イーストモート1
月~土 17:00~23:00(L.O.22:00)
日・祝日 15:00~22:00(L.O.21:00)
不定休

私の地元、新潟県燕市吉田地区。
この街は、工場の多い燕市のベットタウンとして
とても穏やかな空気を持った街です。

私もこの道に入り、玉川堂の近くに移るまでの22年間を、この吉田町で過ごしました。この街で左官業を営んでいる同級生の関川さんに表札のご依頼をいただき、先日、納めさせていただきましたので、その模様をお伝えします。

まずは、材料から。
表札に使う、玉虫色の銅は、紫金色と呼ばれ、錫を焼き付ける際に、味噌などを付けながら焼く、特殊な方法で材料にします。

裏面は、銅のままの材料です。
裏側に、反転させた文字の輪郭を、写し取ります。

松ヤニ台とゆう、あたためると柔らかくなり、冷めると硬くなる性質のある道具を使と、鏨とゆう何十種類もある鉄の棒と、金鎚を使い徐々に、時々、コンロであたためながら彫り込んでゆきます。

裏面の工程が終わり、灯油で綺麗にあらったら、今度は表面から整えるように、軽く鏨で均してゆきます。
整えたら、四方を折り込み、立体にし奥行きを出したら仕上げに入ります。

仕上げは、硫化カリウムとゆう、温泉の硫黄の成分に近いものをお湯に溶き、漬け込んで真っ黒にしてから、磨き上げます。
磨き上げることによって、文字の部分だけが金色に浮かび上がってきます。
緑青硫酸銅の混合液で2、3分煮込んだら定着。
表面にイボタ蝋とうう、純粋な蝋を塗ったら、完成。

玄関の顔として、御宅の成長とともに、表札も風合いが増してきます。
この色は、緑青が出てきて、落ち着いた色がでてきます。

依頼主の関川さんは、左官職人です。
打ち合わせの際に、仕事場に寄せていただきましたが、ご自身で塗られた壁の完璧さに、その腕の磨く修行の凄さを感じました。
このように、同級生で職人として活躍されている姿に励まされ、私も更に更に精進する励みとなりました。
記念の表札として、心に刻みたいと思います。

昔ながらの技術には、理由があります。
生活を豊かに過ごすための塗り壁。
私も、いつか家を建てる時には、この壁でと、目標ができました。
是非、関川さんのHPも素晴らしいので、ご覧いただけたら幸いです。

関川左官工業 HP
http://sekikawasyagan.com/sekikawa.html

湯沸の蓋も一枚の板から出来上がります。
本体に合わせ、少しずつの擦り合わせ。
鍔をだしたりとゆうところが、この蓋づくりの醍醐味です。

先ずは、いつも通りに、板を切り出し
打ち上げてゆきます。

先につくった湯沸の本体に合わせて、だいたい同じ位の大きさになったら
鍔を出してゆきます。

徐々に徐々に。
湯沸かし本体とのバランスを見ながら、鍔の出方を調整してゆきます。

丸みを整えて、完成。
手順としてはシンプルですが、この擦り合わせに要する時間は多く
経験がものをゆう作業となります。
先日の、湯沸の口作りのblogなどの小道具と言われるパーツを組み合わせ湯沸は出来上がってゆきます。
小道具のバランスで、その職人の特徴がでる湯沸。
生活での使い勝手も含め、1番のオススメの銅器です。

先日
お客様のご注文で銅のぐい呑に
銀メッキや金メッキを施すそんな器を作らせていただきました。
初めてのことで様々な勉強が必要でしたが
仕上げてみると今までの錫を手でメッキしていたものと違い
電気メッキの処理でぴったりと全体に塗膜ができているようです。

手での錫メッキですと、細かい気泡ができており
銅の効果も表に現れると言われています。

変わりに、この電気デッキですと、銅特有の香りが気になる方や
お酒の味が変わることを好まれないお客様には
こちらをお勧めしたいと思います。

銅の素材感や鎚目、肌触りなどはそのままに
それぞれの役割で、特徴をお伝えしながら選んでいたける
またひとつ幅が広がりました。

この様に、今年は基本的な鎚起銅器の技術を大切にしながら
今までの鎚起銅器の枠にとらわれずに
様々に素材との対話や新しい技術を取り込んでゆきたいと思います。