日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

カテゴリー〈 製作 〉

フライパン

カップ

コーヒーメジャー

真鍮スプーン

カップ

真鍮スプーン

イイハシナオタカ

イイハシナオタカ

イイハシナオタカ

イイハシナオタカ

ピッチャー

工房に籠る日々が続く昨今。この場所を整えることを進めております。
その際に、真鍮を使っての金具づくりなども、心地よい空間をつくるための良いアイテムとなります。
昨日作った、鋏をを掛け。
ずっとしたいと思っていたことを徐々に形づくっております。

他、昨年の工房改装でつくった金具達。

このような、鎚起銅器ではなくても、鎚起銅器作成の中で育んだ技術を使っての金具づくりをこれからも進めてゆきたいと思います。
お家の中で、こんな場所にこんな金具があったらいいな。とゆうご希望がありましたら、長さなどオーダーでお作りいたします。
真鍮棒の太さ、形状などにより様々な形をお作りします。
取っ手やタオル掛け、などなど。
各種2,500円位から承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

本体に続き、小道具と言われる、口、耳(本体と取っ手を繋ぐ部)、蓋、中合(本体で蓋を支える部)、取っ手の製作。

先ずは、耳から。
今回は、3ミリ厚の銅板を切り出し、削り込み形をつくります。
一般的には図右側のように、折り曲げて本体との接合部分を多めに取りますが、今回は立てるような取り付け方法を考えました。
ひたすらに削り、本体と擦り合わせをしながら形を整えます。

そして、今回の特徴的な部分として、口が今までとは大きく違うものとなりました。
一般的な湯沸の場合、多くの湯量を出すため、注ぎ口も大きくなりますが、今回は細く淹れるための形を考案させてもらいました。
湯沸は湯切れや湯量の調整をどうするのかが、肝と考えます。ご依頼いただいたイメージに近づけるように。

ここでも、ゲージをつくることから始まります。
そして、焼き鈍しをした銅板から切り出し、金床の上で木槌を使い丸めてゆき、背中を溶接で合わせます。

合わせた後、これらの道具を使い整形。
ここでも焼き鈍しを行い、3回ほど柔らかくしては叩きを繰り返します。

各部のポイントを押さえながら、湯の流れをイメージします。
袋に溜まり、しなりと背中を通り唇から湯が出て、どう戻るのか。
出ることと共に、戻り方により湯の切れ具合が決まってきます。

口、耳の部分を本体に接合。
口を本体に擦り合わせ、穴を開けヤスリで削り嵌め込みます。
金属ですので、擦り合わせもヤスリで削り、様子をみては削りを繰り返します。
嵌め込んだら、錫で目止めをし、水漏れがないかを確認。

続いて、蓋と中合の製作。
二つの板を同時につくり始めます。
中合は本体の口径に合わせつつ、蓋は中合に合わせつつ。
形が決まったら、中合は中心部分を切り落とし、異物が混入した場合にかき出せるように、欠けを切り。本体に合わせ錫で小口を溶接し、ヤスリで整えて。

全体の形が決まったら
最後は、取っ手の製作。
銅板を丸めてつくる取っ手が一般的で、今回も一度試作をしてみたのですが、バランスが合わずに、真鍮の平板に変更させていただきました。

真鍮は、銅と亜鉛の合金で、銅とは親和性があります。
銅と比べ、硬さがあり、熱伝導率も低いため、ミルクパンやフライパンなどの取っ手にも使用します。
取っ手の特徴は、この耳との接合部。図のように穴に銅鋲を通して、叩いて締めるわけですが、この時、取っ手の接合部の曲がりによってバネが効き。バネが効くことで、取っ手の可動領域が決まって来ます。
このバネの効き方の調整にも、それぞれの職人の個性がでるところ。

取っ手が完成したら、本体部分、蓋をよく磨き仕上げたら完成。
取っ手には、籐の蔓を巻いて、本体に取り付け。
蓋には、いただいた木のつまみを取り付けます。鎚起銅器の弱点であるつまみを木で補強していただくことで、一層使いやすい湯沸となりました。

今回は、2つの湯沸を同時並行で製作し、ひとつを手元に。
画像は、手元にあるもので。つまみ部分は試作していただいた小さい方を使用しているので、お届けしたものと少し雰囲気は違います。
こちらは、ある企画のために製作されたもの。その企画は秋頃に発表予定です。

今回、デザインをいただいた中で、この湯沸を製作させていただき、私がいつか試してみたいとゆうことを、各所で詰め込むことができました。
一番大きな特徴は、やはり注ぎ口。
工房でほっと一息つく際に淹れるコーヒーの楽しみの質が、この注ぎ口のお陰で一層深くなりました。
生活を楽しむ道具として、このような形に出会わせていただいたことに、感謝しつつ。更なるご依頼にお応えできるように、腕を磨きたいと思います。

今回は、木工作家の三谷龍二さんからデザインをいただき、台湾茶やコーヒーなどにお使い良いような湯沸のご依頼をいただきました。
寸法をいただいての製作は、またひとつ気の入りが違うものです。
納得ゆくものになるまでの道程。
長くなりますが、2回に分けて、ご一緒いただけたら幸いです。

先ずは、いただいたデザインを前に、細部の確認から始まります。
お使いいただく状況や、気になる点など、いただいたデザインと私の経験を擦り合わせさせていただき、形をつめてゆきます。

そして徐に始まる、いつもの一枚の板から。
湯沸本体部の形を作り始めます。
銅は叩くと硬くなり、バーナーで火にかけると柔らかくなるとゆう性質があります。この焼き鈍しの作業と、叩く作業の繰り返し。

そして、今回重要なのは、ゲージを切ること。
外側の形をみるためのものと、内側の形をみるためのものを二つ。
現段階では、この内側のゲージが重要となります。
時々、合わせて膨らみを確認します。

ここで、上方を部分を縮める工程を動画で。
口の大きさを縮めることでできてくるシワ、これを重ねないように叩くことで、口の大きさは縮まってゆきます。
金属とゆうと固いイメージですが、この辺りは、粘土と同じような素質で形は変わります。

重要なのは、首の立ち上がりの位置と長さ。
首を決めることで、本体の形はいくらでも調整ができます。

ここでも重要になってくるのは、外側のゲージ。このゲージに合わせて形を見てゆき、デザイン画と目視のバランスをみつつ、外側に錫を焼き付けて銀色にし、最後の仕上げの叩きをします。
これで、本体は完成となります。

次回の小道具づくりへと続きます。

一枚の板を叩き起こし、器にしてゆく鎚起銅器に於いて、お盆など、サイズは大きくても立ち上がりが少ない器は、手間はかかからず。口の大きさが小さくなるほど、背の高さがでるほどに、学び深き物になると今回の製作で感じさせてもらいました。

3枚の銅鍋を組み合わせて形にする香筒。
まずは、本体部分の製作から。
過去の動画も含めて、お伝えします。

図案から材料の大きさを計算し、大きな四角い板から金切鋏で切り出します。
そして、木台で立ち上げ、口の大きさを絞り始め。
口の大きさを絞ることにより、器の高さが出てきます。
今回の材料は1ミリ厚。

銅板は、叩くことに硬くなり、600度ほどに熱することで柔らかくなります。
叩いては、バーナーで火にかけ柔らかくする。その繰り返し。
カップなどは、10回ほどの焼き鈍しですが、今回は28回の焼き鈍しで形になりました。

垂直に立ち上げる場合、底からばかり立ち上げると底角部分が薄くなり破れてしまうために、途中は胴体部分に道具を引っ掛けて立ち上げる部分を変えてゆきます。

今回は、口径が小さいため、ひとつ道具をつくりました。以前、コークス炉で熱し叩き、曲げておいた鉄の棒をヤスリで磨き込み、整えてゆきます。

表情が出てくる器。
最初の図案を変更させていただき、この表情を活かす形とさせていただきました。
口径の大きさが決まってきたら、胴体部分の肉を削ぎ落とし、細身に。
金切り鋏で、口の部分を平行に整えつつ、全体の形を出してゆきます。

粗々と大きな金鎚で形を作り、最後は小さい金鎚で表面を整えます。均しとゆう作業。この作業を通して、肉の厚みの違いについて気付かされます。
普段のカップ製作では、一番厚いのが口部、次が底、薄い場所が底角となりますが、香筒では、底から2センチから5センチほどの場所が1.5ミリほどと一番厚く、次が口部、底。薄いのが底角部。

表情を保ちながら均し、3つのパーツが揃うように、整えます。

胴体下部完成の後、中合の製作。
板を丸めて合わせ、溶接。茶筒などを軽く作るためには、このような丸めて合わせつくる方法が、主な製品として流通しています。
胴体下部と、中合のすり合わせの後、胴体上部と中合の擦り合わせ。香筒を携帯した際に蓋が落ちないような硬さを保ちながら、蓋を取り外す際には硬くなりすぎない。使う場面を想像しつつ、調整を繰り返します。
今回は、スクリューキャップのように、捻りながら開け閉めするとゆう方法を提案させてもらいました。


全ての形が完成したら、器を綺麗に磨き、硫化カリウムを溶かした液に漬け込み、黒くします。その後、磨き落とし、緑青硫酸銅の混合液の中で2分ほど煮込み完成。
このような仕上げをすることで、指紋がつきにくく、色の深みがでる銅器となります。

自分では発案しないような、背の高い香筒を製作することで、鎚起銅器が1ミリ板の中で細胞が移動する姿を確認することができました。
叩き上げ手をかけることで、普段は見えない銅器の表情をを感じることができ、貴重な経験となった香筒づくりです。

フライパン24センチ

マネートレイ5寸ロゴ入り

表札 星野様

皿 リム付

コーヒーメジャー

カトラリーレスト

急須

弦巻き

2020.02.08

鎚起銅器の職人は、一から十までを一気通貫できるようにと、修行場ではおしえていただきます。
材料切りから、仕上げまでは当然のことながら、お客様とのやりとりをさせていただく中での発見も、職人としての大切な感性を育める機会と思います。
そして、そのような場は、とても大切だなと感じます。

普段、湯沸や急須を手にとっていただいたお客様から、この弦は、どうなんですか?と、お聞きいただくこともあります。こちらも私自身が巻いております。
弦の製作では、板を丸め、隙間を溶接します。
溶接した後に、木槌や金鎚を使い整え、その後、手の感覚で弦を曲げ形にしてゆきます。仕上げた後に、弦巻へ。

このように、飾り模様を巻きつくることを、峰を立てるといいます。

峰を立て、本体に取り付けて完成。

この籐の弦は使い込むほどに、茶が深くなり艶が増してきます。
この茶深艶も使い込むことでしか出てこない色となります。
一から十まで、一気通貫することで、お直し対応もスムーズに行えます。何か気になることや、使っていただく上でお困りのことなどありましたら、お気軽にご相談ください。

只今、西日本ツアーの真っ最中。
神戸での銅鍋づくり体験が終わり、明日からの福岡での銅鍋づくりへと、今回のツアーも、着実に歩を進めております。

いつも、九州へ銅鍋づくり体験で赴く際には、門司港のホテルで行き交う船を眺めながら、今後のことを考えることが、一つの儀式のようになっております。今回も2泊3日でホテルに籠り、来年のことを考えています。

そのひとつとして、今後は銅のカップを定番から外します。
一番身近に感じ、確かに毎日使うものではあるのですが、それを鎚起銅器の入門編として提示するのが、よいことなのだろうか?と考えた末に。
銅は熱伝導率がよく、その特性を活かしたものとして、湯沸や銅鍋は重宝します。その反転として、カップに冷たいものを入れた際には、汗をかいてしまうのです。それが良いのかどうか。とゆうことをずっと考えていたのです。

ですので、鎚起銅器入門編としては、ツバメコーヒーさんが企画デザインしてくれた、盆をオススメしたいと思います。
こちらも、日々のお料理を楽しんでもらう際には、冷やして使っても良いですし、少し、あたたかくして使っても良い器。サイズも5寸から1尺1寸まで、1寸刻みで製作しています。

また、最初に鎚起銅器の技術がたくさん詰まった湯沸から始めてもらえたら、その特性を存分に感じてもらえるものと思いますが、そのハードルが高い場合には、鍋も200年前と変わらずに生活に適した器としてご活用いただけると思います。

しかし、やはり入門編とゆうことで触れていただく為には、どんなものが鎚起銅器の特徴を活かしつつ、身近に使っていただけるかを、これから更に考えて試作をしてゆきたいと思います。
また、体験とゆう形で、銅鍋づくりをしていただき、ご自身の手で生み出した道具から始めていただけることもよいかと思います。ご自身の手で、ご自身のつくりたい形を生み出す。そんな銅鍋づくり体験も、引き続き開催し続けたいと思います。
1日かけて1枚の銅板からつくる銅鍋づくり体験の模様はこちらから
銅鍋づくり体験 in新潟
2020年も3月から11月にかけて、日本各地で銅鍋づくり体験を主催してくださる場所に伺います。
詳細につきましては、銅鍋づくり体験についてをご覧ください。

とはいえ、カップの手触りやその特徴をご理解いただき、ご要望があればお作りいたしますし、新潟市東中通一番町にあるBarBookBoxさんのように、カップやチロリを実感していただける店舗もございますので、是非、そちらに足を運んでいただき、カップをお使いいただき、ご納得の上で形など店主に相談していただけたら、私も製作しがいがあるものです。

「カップは鎚起銅器の入門編としてはどうなのか?」とゆう問いから、このような形になりましたが、引き続き、鎚起銅器を通して想像力を育んでいただけるように、出張から帰り次第製作に励みたいと思います。
そして、工房で製作に励みつつ、各地に赴き鎚起銅器をお伝えすると共に、見聞を広め、今の器作りを続けてゆきます。

12月4日水曜日、関門海峡臨むホテルにて。
鎚起銅器職人大橋保隆

いつもお世話になっているヒメミズキさんを通して、新潟市にあるキューブデザインさんからご依頼をいただきました。
妙高市にできる住宅の大きなランプシェード。
大きなダイニングテーブルを光で包み込むような、ご家族で集われる場所に溶け込むようなランプシェードとゆうことで、初めてのサイズ製作となりました。
140センチ×50センチ×h25センチ
まずは、製作の風景から。

1m×2mのメーター板と言われる、材料の中で一番大きな板からの切り出し。

このご相談をお受けした際には、一人でつくるのは難しいかなと思っていたのですが、気の合う者との共作でないとうまくゆかないと思い、一人での製作に挑む形に。
工房でも、父の上り盤と私の上がり盤を両方使っての製作。

相談の結果、部屋の色とのバランスで、土色の外側と、光の反射を考えて内側は月色にするため、平らなうちに錫引きへ。
普段なら、バフで綺麗に磨けるものも、この大きさになると、手作業となり、全身を使う作業の始まり。

内側から叩き込み、モクモクとした湧き上がるようなイメージで、形をつくってゆきます。

形が完成した後に、外側から、普段は大きく形を変える時に使う金鎚で、外側から叩き締め、形の整えます。
キューブデザイン さんと相談しつつ進める今回のランプシェードは、自分の頭の中で完成させるよりも、相談の中で形が出来上がりました。
この波を残すのもそうで、職人としてよりも、作家性を重視して、普段の自分の仕事から少し離れたところで、完成を目指していました。

吊るされる前のランプシェード。
空間に収まるまでは、私の想像を託す形となります。

と共に、内側の細工も製作。

光が前面に出ないように、反射板も製作。
10年位経った後、ライトも交換できるようにと、考えを巡らせます。このあたりの設計を考えるのも好きなのだなと感じた、今回の仕事です。
本体と反射板の組み合わせ、それが天井から吊るされ、何十年とご一緒するための設計。

吊るされている画像をお送りいただき、空間に溶け込んでいることを確認できほっと一息。

そして、今回は完成見学会もあり、ヒメミズキさんのコーディネートがされている中で、想像も膨らみます。
25日には、私も足を運ばせてもらい、いろんな角度からランプシェードを確かめて、ほーーーーっと一息つくことができました。

今回の経験をさせてもらい、設計された方との交流の中で、建築と工芸について、改めて考える機会をいただきました。
工芸や美術は、建築とゆう空間づくりの中から派生したものと考えています。
その空間の中で、どうものづくりが活きるのか。
また、ひとつ言葉に落とし込めるように考えたいと思います。

今回、このような貴重な機会をあたえていただきました、キューブデザインさんありがとうございました。
そして、いつもご縁を繋いでくださるヒメミズキさんに、心より感謝致します。
こんな感性を持たれる、キューブデザイン さんの完成見学会も各地で行われるとのことですので、是非、足を運んでいただき、実感していただけたら幸いです。