日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

カテゴリー〈 旅 〉

炭職人さんに続き、伺ったのが珪藻土を切り出して七輪をつくっておられる能登燃焼器工業さん。こちらの舟場さんものがし研究所 萩のさんにご紹介いただき、訪れさせてもらいました。

仕事のお邪魔になるのではないかと思いつつも、伺った現場。やはり、職人として現場でお話をお聞きできること、現場を見れることで学びが深くなるものだなと感じたひとときでした。
そして、七輪の歴史を知ることで、またもや思い込みを外してもらいました。
七輪といえば、私も仕事で使っていますが、丸いものと思い込んでいましたが、七輪の始まりは切り出しでつくられ四角いものだったとのこと。私が想像する七輪は昭和に入ってから量産体制に入り、練り物でつくられ金型に押し込んでつくられるものだったようです。
そして、今は長方形のものが主流だとか。
当たり前に見ていて、それが当然だと思い込む危うさ。
確かに手仕事の工程を考えれば、丸いものは手間がかかり、四角く作る方が理に適っています。
一方、金型をつくり練り物でつくのであれば、丸い方が理にかなっている。
ものづくりの歴史は、理りで出来ていると考えますが、七輪にもそれを感じました。
そして、一連の流れを同世代の舟場さんからご案内いただきました。
まずは、山を掘り進める坑道入口から。

この中に入ると、電波も通じず。ひとりで黙々と作業をするとのこと。暗闇の中1日を過ごす精神力に、尊敬の念を感じずにはいられません。
この中に入り、刃物を使い手作業で掘り出すとのこと。食感としては、チョコレートやカレーのルゥのような硬さがあるようです。
こちらは、掘り出すための道具。
近辺の野鍛治職人も少なくなって来ているようです。七輪の切り出しの職人が少なくなれば、その道具をつくる職人も少なくなる。
これからは、それぞれの地域の連携が更に大切になってゆくことでしょう。

掘り出した四角い材を、成形。七輪づくりは分業制で、専門の職人さんが黙々と作業をされていました。見慣れた七輪。
丸い穴は大きなボール盤のようなもので削られていましたが、この内側のギザギザも鑿のようなもので、ひとつひとつ切り取られていました。
用途によって変わる形と、それに合わせてつくられる鑿達。美しいです。

この時点では、水分が50%ほどあるとか。これを、大きな窯で二晩。薪で焚き続けて、硬くなります。
焼き締められた後に、大きな仕上げ場に。ここで、ヤスリをかけたり、金具をつけたり、検品をされて、出荷を待つ七輪達。
この仕上げ場は、廃校になった小学校の体育館だとか。時代を感じさせる趣と、変わらない作業を続けるみなさん。

私の手元に来た、3つの七輪。
「この佇まいどうですか!」と言わずとも、この姿を見たらきっと多くの人がわかってくれると感じる七輪。

仕事で使うことがあっても、生活の中で使うことが今まではありませんでしたが、これなら使ってみたいと思わせてくれる七輪。
この秋には、秋刀魚を焼いて、茄子焼いてと想像が膨らみます。
鎚起銅器の歴史の中で、湯沸や銅鍋がよく使われた理由には、以前は炭火などのガスなどに比べて火力が弱い時代でも、熱の伝導率が良く湧きが早いために使われていたといいます。
この上に置かれた銅器はどんな表情をするだろうか、と想像しつつ。

炭職人の大野さん、七輪の舟場さんの手仕事に触れて、帰ってからの製作エネルギーをいただきました。
この留めどないエネルギーとともに、新潟に帰ります。

先日の、4日金曜日より始まりました。香川県高松市ミゾブチ家具さんでの三人展。私も初日から在店させていただき、3日間にわたり鎚起銅器をお伝えする機会をいただきました。
ミゾブチ家具さんでの展示は2回目。
今回は、ミゾブチ家具さんも店舗の一部をリニューアルとゆうことです。新しくSOLIDさんの家具の売り場づくりをされたとのこと。
心配りの行き届いた環境。ご来場の常連のみなさんも、ミゾブチさんの言葉でお伝えしていただいているお陰で、鎚起銅器に興味を持っていただき、私も安心してお伝えすることができました。
このように750キロほど離れた地で、燕に古くから伝わる技術をお伝えできることを嬉しく思います。

今回も、美術家の藏本秀彦さん、陶芸家の上野剛志さんとご一緒し、展示会場から懇親会まで、様々なお話を交わすことができました。
ミゾブチ社長も含め「何年前からご一緒なのですか?」と言われるほどに、意気投合し。ものづくりとしての心根や今考えていることを、率直にお話しする機会を得ています。

「Meet in Sanuki」
日程 9月4日金曜から9月13日日曜 定休日水曜
会場 ミゾブチ家具(香川県高松市香川町朝の1306-5)
時間 10時から19時
お問い合わせ 087-879-7111

会期は今度の日曜日、13日まで開催。

近辺には、落ち着いた雰囲気の温泉もあります。
私は、地元の電車「ことでん」に乗ってゆきました。このうちわを窓口で買うことで、ことでんの一定区間の1日乗車券と入浴券タオル付きとなります。


温泉の最寄駅、仏生寺には図書室があり、風情を感じさせてくれます。

仏生寺駅から歩いて10分ほど、すっきりとした建物が出て来たら、それが仏生寺温泉。

大きな窓からいっぱいの光を取り込み。庭を中心にぐるりと囲むようにお風呂が並んでいます。
また、この施設では駅と同じように、古本の販売をしていて、湯船でも読めるとのこと。33度ほどのぬるい温泉だけに、本好きには良き環境。
また、ゆっくりと訪れたい場所のひとつとなりました。

また、高松市内の高台、峰山公園には展望台があり、瀬戸内海を見晴るかすことができます。アスレチックや林の中を抜けると、そこには気持ちの良い風が吹き抜ける展望台。
屋島や小豆島を始め、様々な島を眺めることができました。

そして、香川といえば讃岐うどん。今回の3日の滞在でも毎日うどんをいただきました。四角くて腰のあるうどんと天ぷら。そして、おでんと堪能させてもらう日々。

是非、ミゾブチ家具さんでの展示会に足を運んでいただくと共に、高松の街を楽しんでいただけたら幸いです。

私も早速、生活手仕事研究所の本棚の上に、藏本さんの作品を。そして上野さんの器に梅干しを入れて、日々の楽しみが増えました。
また、お声がけいただける機会があるように、製作に邁進したいと思います。

今回は、四国は高松ミゾブチ家具さんでの搬入と在店から、能登は輪島ののがし研究所さんに呼んでいただき、銅鍋づくり体験会の旅。
新潟から、四国、能登と駆け回ってほっと一息。
そんな旅の模様を書き留めておきたいと思います。
先ずは、直近の出会いからお伝えしたいと思います。
輪島での銅鍋づくり体験会を終え、骨休みに奥能登の宿へ向かう途中。のがし研究所の萩のさんにご紹介いただいた、炭焼き職人 大野さんと珪藻土の七輪を作っておられる舟場さんの工場にお邪魔したました。

大野さんが作られているお茶用の炭は、菊炭と言われるもので、美しく炎を見せてくれる炭とのこと。
カルチャーショック、とはこのことでしょう。
炭はいくつかのものを組み合わせて、空気の流れをつくって着火させるもの。と思っていましたが、1つでも着火させ火を保つ七輪と共に、この菊炭を卓上で使えるように提案してくださっています。
火を愛でながら、お茶やコーヒーなどを楽しむ豊かな時間。
想像をしただけで、とても心が踊り出すものがありました。

珠洲市の山の中で、炭焼きをされている現場の写真は撮り忘れてしまいましたが、そこで日々炭焼きをされている大野さんの姿と、このように身近に炭を使う提案をされている姿に、骨休みのエネルギーをいただきました。


鎚起銅器が以前多く使われていたのは熱伝導率が良い故に、炭火などの火力の小さいものでも、脇が早かったから。
この卓上のセットでも、銅器を組み合わせて、何か豊かな時間の添え物になる器はつくれないかと考えています。
私なら、やはり熱燗をつけて、呑みながら肴をあぶりながら、炎を愛でる。
といったところでしょうか。
帰ってからの試作が楽しみです。
最近は、お茶の世界でも炭を使うことが少なくなったようですが、この火の魅力は身近におきたいものです。

次回は、大野さんの炭を活かす土台の珪藻土の七輪を作っておられる、舟場さんのところに寄せていただいた時間を書き留めたいと思います。

Roots猪苗代

2020.06.20

私の製作している鎚起銅器を応援してくださっている、福島県猪苗代町の工務店Roots様が拠点を移動し、廃校になった学校を利用し店舗を新しくされるとゆうことで、伺ってきました。

場所は、猪苗代湖畔49号線から少し入ったところにある小学校。
中には、Rootsさんの提案する暮らしを実感できるお店が1F、2Fと並んでいます。
1階には、地元燕三条を代表するsnowpeakさんのショップやカフェ。
2階には、絨毯をはじめとする暮らしの中で育める道具たちの販売もされています。私の鎚起銅器もオーダーメイドをしていただけるような展示をしていただく予定となっております。

世の中の情勢により、スモールオープンとして、この6月26日金曜日から、一般の方にもご覧いただけるとのこと。
ご注意いただく店などもありますが、是非、お近くに来られた際にはお立ち寄りいただけ、実感していただけたら幸いです。

このように、公の場を地元の工務店さんが活用し、素敵な空間を築いてゆく取り組みは、とても大切なことと感じます。
暮らしの学校として、過去から現在、そしてこれからどう住まいと付き合ってゆきたいのかを考えるひととき。
私も協力させていただくことで、人生の中で大切にすること感じていただけたら幸いに思います。

また、OPEN後の模様もupさせていただきたいと思いますし、これからここでのイベントも開催予定ですので、その際もご覧いただけたら幸いです。

哲学者の鞍田崇さんにお声がけいただき。
先般の松屋銀座「工藝批評」展につづき、昨日より1月26日日曜まで、福岡市工藝風向様にての展示に、盆を展示していただいております。
福岡へは、銅鍋づくり体験で度々足を運ばせてもらっていましたが、このようにゆっくりと伺うのは初めて。福岡市内の仕事では行けない場所を巡る良い機会となりました。

今回は、初日のトークイベントがあるとのことで、私も拝聴しに伺うことに。
工藝風向店主 高木崇雄さんを司会に、鞍田崇さん、三谷龍二さん、菅野康晴さん、井出幸亮さん、広瀬一郎さんが登壇されて、30分おきに交代とゆうトークの内容。
そのトークをお聞きし、今の感じたことをまとめる一節として、記しておきたいと思います。

ものづくりをしている者としては、知ってもらうことと、それが行き過ぎることの兼ね合いを考えます。
高木さんが言われていましたが、今回の展示でも、初日に三谷さんの作品が欲しくて、朝8時から並ぶ。そんな状況をよしとするのかどうか?

作り手としては、知られなければ、この仕事では食べてゆけない。食べてゆけなければ、仕事量が少なく腕も上がらない。ただ、知られ過ぎて権威化してゆくと、ものを観る前に買われてしまう場合もある。
とゆう葛藤。
この兼ね合い。

また、インターネットが発達する中で、SNSをどう捉えるか?とゆうこともでるかと思います。SNSは私にとっての道具か、機械か?
私は、道具は自ら制御できるもの、機械は自ら制御できないものと考えますが、SNSで情報を発信すると共に、行き過ぎない、行き過ぎないでほしい。
本もまた、情報を広めるための手段のひとつと思いますが、本を手に取るほどのハードルもなく、広がってしまう情報になってしまわないかどうか。
その点では、HPを基軸として、faceookで自分を発信し、インスタグラムで商品情報を貯めてゆく現状が、私の程よさなのだろうと思います。

人それぞれの程よさ、生活の在り方で、今までの先達の環境よりも、小さな環境でもよしと思える世代もいるように思います。
バブル世代を超えた世代と、その後の世代とのお話も、広瀬さんからありましたが、どれくらいで満ち足りるのか?の基準の違い。
これから大きな情報の場で共有することでもないのですが、菅野さんが言われたように、ものを通して語り合うことで、育ってゆくものでもあろうかと。

このあたり、作り手の私とゆう現状を踏まえて、少しずつ括りを広げてみたい。
兼ね合いを大きく観ることは難しいことだとは思いますが、その兼ね合いを持ち寄ることで、観えてくることがあるのではないかと。
そのためにも、語り合う機会を持つこと。かなと。
まずは、昨晩の印象の一つとして。今後も鎚起してゆきたいと思います。

先年、銀座松屋様で開催された「工芸批評」展が、福岡でも開催され参加させていただきます。
鞍田崇さんにお声がけいただき、ツバメコーヒー店主の企画デザインしてくれた盆を5寸から1尺まで展示販売させていただきます。
福岡での展示は初めてとなりますが、多くの方に鎚起銅器に触れていただけたら幸いに思います。2020年1月17日(金)〜26日(日)
工藝風向(福岡県福岡市中央区赤坂2丁目6−27)
11:00〜19時30分
会期中無休
https://foucault.tumblr.com/post/190074411813

17日にはトークイベントもあるとのことです。
私も新潟からお話を聞きに伺います。
タイミングの合う方は、是非。
*要予約、先着順 工藝風向までご連絡ください。
 1月17日(金)19時より、2時間ほど
 話し手 三谷龍二、井出幸亮、鞍田崇、菅野康晴、広瀬一郎、高木崇雄
 会 場 珈琲美美
 会 費 3,000円 珈琲付

神戸での銅鍋づくり体験にお声がけしてくれた、書家の華雪さんから、翌日に奈良へ墨づくりの見学と、握り墨づくりに行くとのことで、ご一緒させてもらいました。
穏やかな冬の晴れ間に、ピクニック気分での奈良行き。
他の職人さんの仕事を見せてもらう、とても良い機会となりました。

向かった先は、奈良市内の墨運堂さん。大きな資料館と製作現場が一緒になり、製作現場も見学できるような施設です。

その日は、職歴17年の職人さんが居られ、実際に墨を製作されていました。
墨とゆうと、硬いイメージですが型から取り出した墨はまだ柔らかく、そこから水分が抜けることで、徐々に硬くなってゆくとのこと。
表面に施されている、このような木型も段々とつくれる職人さんが少なくなり、模様を彫る工程も今勉強中とのこと。
この辺りは、どこの伝統産業でも聞かれる話で、鎚起銅器の世界でも、道具をつくれる職人さんが、私の経験年数の中でも、確実に減っています。

墨の製作工程を見学させてもらい、この材料のほとんどは、私たちが彫金で使う松ヤニとゆう道具と同じだと知りました。私たちの使う松ヤニは油を使い、もっとドロッとしていますが松ヤニとすすと油を混ぜたもの。
温めると柔らかくなり、冷めると硬くなる性質があり、表札などの製作に使う道具です。

今回知って、そうかと思ったことの大きなひとつ。墨は竜脳で香りづけをしているとのことで、この香りづけをしないと、とても嗅げるような匂いではないとゆうこと。私の好きな墨の香りは、ここから来ていたのかと。

油を燃やし煤をとることが、とても大切な作業。煤の具合で、色も変わり、品質に関わる。
また膠を溶かす作業も根気のいる作業となっており、ゆっくりじっくりと溶かしてゆくとのこと。
その膠と煤や竜脳などを混ぜる作業も、模型のように、昔は人手で攪拌していたようですが、今は機会化が進み、だいぶ楽になったとおしゃっていました。
そこも、伝統工芸の共通点で、時代とともに作業も変化してゆきます。

墨から硯、書の説明と1時間ほどのお話を伺った後に、握り墨の製作に。

先ほどの職人さんが練ってくれたものを、手のひらに乗せてもらい、ぎゅっと握る。握り方でそれぞれの表情が出て、面白い体験でした。袋の中に入れて水分を飛ばせば、3ヶ月ほどで使えるようになるとのこと。

今回の見学を通して、職種は違えど、伝統産業の現場は共通する部分が多いなとゆうことと、これからの職人の育成について考える機会となりました。
そして、墨と硯、水の関係を知れたことで、書の作品を観る際の補助線をいただきました。
お声がけいただいた華雪さん、心よりありがとうございました。

10月6日よりの1ヶ月、銀座松屋さんで開催されていた工芸批評の展示会に、企画デザインをしてくれたツバメコーヒー店主の田中さんと、やっと伺うことができました。
この展示は、秋の工場の祭典で定点的にお話会に来てくださっている明治大学講師であり哲学者の鞍田崇さんに推薦していただき、参加させていただきました。

鞍田さんとは、この5年ほど、交流を持たせていただき、今の工芸の流れを学ばせていただいたり、各地の作り手さんをご紹介いただき、書家の華雪さんとも、鞍田さんの授業で知り合ったことを思い出します。
この様な機会をいただくことで、とても励みになり、自分の器を改めて見直すこととなりました。
鞍田さんには、いつもご縁をいただき、心より感謝しております。

また、夜には「青花の会」に参加し、ギャラリーオーナーの松本武明さんと山内彩子さんのお話を聞きに。

クラフトフェアやSNSの登場で、 作り手と買い手の距離が近くなり、 その間で作り手の健全な経営ができるようになったとき、 ギャラリーの意味が問われている、今。と感じています。
また、それだからこそ、売り手の観る力が作り手に与える影響も大きいだろうなと思う今日この頃です。
いくつか質問したかったこと、またいつか。

東京で、学び多き時間を過ごさせていただきました。
また、工房に帰り励みます。

先日のフランスの旅で、南西フランスのみなさんに向けてのデモンストレーションを行わせてもらった様子が、地元の新聞に掲載されたとの報告をいただきました。
現地で宿を提供してくれた日置かよこさんのお陰で、この様に沢山の方々に触れていただけたことを心より嬉しく思います。

今回の旅では、地元の大工さんに体験会用の道具をつくってもらったりと、日本の手仕事を実感していただく機会があったりました。
以下、パリで案内をしてくださった中村さんが訳をしてくださったので、記載させていただきます。

昨日で、職人になり23年目に入りました。
この貴重な機会を励みに、一歩一歩着々と進めたいと思います。
これからもご縁のあるみなさん、何卒、よろしくお願いいたします。

ラ・ソヴタ・ドゥ・ドロ
//日本の伝統工芸、鎚起銅器の発見//
我々のような小さな地域では、住人である日本人に、他の日本人が訪れることは珍しい。今回の訪問には目的がある。日本銅食器の伝統技術を紹介し、Yasutoshi Oohashi がデモンストレーションをすることだ。日本の伝統と親子で受け継がれてき技芸を。
この工芸品は、生まれた地域より « Tsuiki »と呼ばれ、平らな銅板を何度も叩くことにより、茶道具だったり、酒器などの洗練された食器具に仕上げていくものだ。
Yasutoshi Oohashiは、1975年7月17日生まれ。少年の頃から、同じく職人であった父Masaaki Oohashiの後を継ぐことを夢見て、10年の修行の後、独立した。2007年より制作をはじめ、技術を伝えるアトリエを主催し、今ではとても好評となっている。彼の高貴な振る舞いや、魅力的な人格は、多くのファンを惹きつけている。クリエイターとファンのつながりは、作品の価値を高め、作品は真に唯一のものとなっている。
8月16日、エイメの「Toi Eymet Moi」アソシエーション前で行われた第一回デモンストレーションの後、同日、ソワレ・グルモンド祭の最中に、Oohashi San (日本ではこのように呼ぶ)は、祭りの実行委員会に招待され、2枚の銅板制作を、大人、子供達の前で披露し、皆、かくも遠くから来たこの技芸を興味深そうに見学した。土台は切り株、道具はハンマーのみ。精巧さと忍耐とで、作ろうとしている食器の形まで作り上げていく。
見学者から拍手を受けたOohashi Sanは、作った器を見学者たちに回し、触らせてくれた。日本ではこれで食事の際、お酒を飲むのだそうだ。そのあと、子供たちにハンマーを握らせ銅板を叩く体験もさせてくれた。着物を着た日本人女性は、彼の技芸と連絡先が記載されたパンフレットを配布した。

フランスも3日目。
この旅に出る目的のひとつは、西南フランスの田舎町 サバタ村を訪れること。この街には、兵庫県出身の日置かよこさんが住まれていて、宿を経営されています。かよこさんには、日本に帰国された際に、地元で銅鍋づくり体験を主催したいとの連絡をいただいたのがご縁で、2回ほど銅鍋づくりを開催していただきました。
そのご縁から、今回は新幹線で2時間40分ボルドー経由、サバタ村へ。

かよこさんの宿は、中世から残る家。パリとは違い、本来のフランスの持つ街の雰囲気を保ってくれています。
そして、田舎町の美しい自然の風景。

そして、街並みの中に溶け込む銅器たち。

この街では、地元の大工 ジョナタンとの出会いもあり、次回の渡仏に向けて、銅鍋づくり体験の木台をつくってもらうことになりました。
私はお礼に大きなお肉を焼く、40センチほどの厚めのフライパンを。
こんな田舎町では、そんな物々交換で生活が成り立っている部分もあるようです。

かよこさんが、地元の皆さんとのご縁を繋いでくださり、また、次に繋がることを願いつつ、サバタ村を後にしました。
それが今回の2019年の旅へと繋がります。

そしてまた、パリの街へ舞い戻り。
翌日は、敬愛するロダンの美術館へ。

ロダンは、この庭を観ながら、何を思ったのか。
コレクションした、ゴッホの絵を前に、何を感じていたのか。
ヨーロッパでは、名作品を身近に感じられ、ここで育まれた子供達完成は、どう育ってゆくのかと想像を膨らませます。
子供達に限らず、自分自身も含め。
そんなことを思いながら、この旅も佳境へ。

初めての海外旅行フランス、最後の夜。
相変わらず歩きに歩いて出会ったのは、フランスの鉄工所と食器屋さん。
こんな出会いも、街歩きのお陰。

記念に一本ナイフを買い、一晩明けたら帰路に。
この旅で芽生えたご縁が、今回の2019年夏のフランスへの旅へと続きます。
そして、また次回、また次回と、仕事としての渡仏を重ねてゆけるよう、精進したいと思います。