日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

新潟県上越市の塗師 飯塚直人さんとの共作「イイハシナオタカ」は、鎚起銅器と漆の組み合わせで、独特の表情がでます。
写真ではご覧いただけにくいところがありますが、飴色の表情が鎚目に映えて、様々な表情をみせてくれます。
新潟市内では、ヒメミズキ様、地酒の都家様にてお取り扱いいただております。
是非、手にとっていただき、肌触りも実感していただけたら幸いに思います。

工房に籠る日々が続く昨今。この場所を整えることを進めております。
その際に、真鍮を使っての金具づくりなども、心地よい空間をつくるための良いアイテムとなります。
昨日作った、鋏をを掛け。
ずっとしたいと思っていたことを徐々に形づくっております。

他、昨年の工房改装でつくった金具達。

このような、鎚起銅器ではなくても、鎚起銅器作成の中で育んだ技術を使っての金具づくりをこれからも進めてゆきたいと思います。
お家の中で、こんな場所にこんな金具があったらいいな。とゆうご希望がありましたら、長さなどオーダーでお作りいたします。
真鍮棒の太さ、形状などにより様々な形をお作りします。
取っ手やタオル掛け、などなど。
各種2,500円位から承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

現在、家に籠られているみなさんも多いと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。
FBページには、鎚起銅器てづくり銅鍋愛好会があり、銅鍋料理を楽しまれている姿を拝見し、私も製作エネルギーともなっております。
昨年は、ギャラリースペースの改装と共に、キッチンも新しくなり、ここで銅器を体験していただけるようになっています。

そんな中、私も最近は様々な銅鍋料理を。
その一部をupします。

いろいろが落ち着いたこの秋には、また、銅鍋づくり体験全国ツアーを開催したいと思いますので、その際は、是非お声がけやご参加いただけたら幸いです。

銅鍋づくり体験の模様
https://tsuiki-oohashi.com/2019/07/11/3122/
銅鍋づくり体験について
https://tsuiki-oohashi.com/2019/01/13/2361/

新潟市東中通1番町ティオペペさんのお惣菜のあたため。
銅は熱が全体に包み込むようにあたたまるので、このようなお惣菜にもぴったりかと感じます。

先日、クッキングライフnukunukuさんで習ったペペロンチーノを、ふなくぼ農園さんの玄米麺で。

シンプルに、チャーハンも卵はふわふわで、お米はパラパラに。

小さい銅鍋を使い、大阪の薩摩の牛太さんからお取り寄せした、ハンバーグを。
銅鍋の効果か、ふっくらと焼けたように思います。

そして、牛太さんからのお肉を解凍する際にも、銅鍋は活躍してくれます。
銅の熱伝導率の効果でしょうか、ディップが出にくいため、私は、いつも銅鍋の上で解凍をしています。

お宅で楽しむ時間のお供として、銅鍋が活躍してくれること、嬉しく思います。
ご自身の手で生み出した銅鍋で、生活を楽しんでいただけるよう、今後とも各地に伺わせていただきますので、どうぞよろしくお願い致します。

本体に続き、小道具と言われる、口、耳(本体と取っ手を繋ぐ部)、蓋、中合(本体で蓋を支える部)、取っ手の製作。

先ずは、耳から。
今回は、3ミリ厚の銅板を切り出し、削り込み形をつくります。
一般的には図右側のように、折り曲げて本体との接合部分を多めに取りますが、今回は立てるような取り付け方法を考えました。
ひたすらに削り、本体と擦り合わせをしながら形を整えます。

そして、今回の特徴的な部分として、口が今までとは大きく違うものとなりました。
一般的な湯沸の場合、多くの湯量を出すため、注ぎ口も大きくなりますが、今回は細く淹れるための形を考案させてもらいました。
湯沸は湯切れや湯量の調整をどうするのかが、肝と考えます。ご依頼いただいたイメージに近づけるように。

ここでも、ゲージをつくることから始まります。
そして、焼き鈍しをした銅板から切り出し、金床の上で木槌を使い丸めてゆき、背中を溶接で合わせます。

合わせた後、これらの道具を使い整形。
ここでも焼き鈍しを行い、3回ほど柔らかくしては叩きを繰り返します。

各部のポイントを押さえながら、湯の流れをイメージします。
袋に溜まり、しなりと背中を通り唇から湯が出て、どう戻るのか。
出ることと共に、戻り方により湯の切れ具合が決まってきます。

口、耳の部分を本体に接合。
口を本体に擦り合わせ、穴を開けヤスリで削り嵌め込みます。
金属ですので、擦り合わせもヤスリで削り、様子をみては削りを繰り返します。
嵌め込んだら、錫で目止めをし、水漏れがないかを確認。

続いて、蓋と中合の製作。
二つの板を同時につくり始めます。
中合は本体の口径に合わせつつ、蓋は中合に合わせつつ。
形が決まったら、中合は中心部分を切り落とし、異物が混入した場合にかき出せるように、欠けを切り。本体に合わせ錫で小口を溶接し、ヤスリで整えて。

全体の形が決まったら
最後は、取っ手の製作。
銅板を丸めてつくる取っ手が一般的で、今回も一度試作をしてみたのですが、バランスが合わずに、真鍮の平板に変更させていただきました。

真鍮は、銅と亜鉛の合金で、銅とは親和性があります。
銅と比べ、硬さがあり、熱伝導率も低いため、ミルクパンやフライパンなどの取っ手にも使用します。
取っ手の特徴は、この耳との接合部。図のように穴に銅鋲を通して、叩いて締めるわけですが、この時、取っ手の接合部の曲がりによってバネが効き。バネが効くことで、取っ手の可動領域が決まって来ます。
このバネの効き方の調整にも、それぞれの職人の個性がでるところ。

取っ手が完成したら、本体部分、蓋をよく磨き仕上げたら完成。
取っ手には、籐の蔓を巻いて、本体に取り付け。
蓋には、いただいた木のつまみを取り付けます。鎚起銅器の弱点であるつまみを木で補強していただくことで、一層使いやすい湯沸となりました。

今回は、2つの湯沸を同時並行で製作し、ひとつを手元に。
画像は、手元にあるもので。つまみ部分は試作していただいた小さい方を使用しているので、お届けしたものと少し雰囲気は違います。
こちらは、ある企画のために製作されたもの。その企画は秋頃に発表予定です。

今回、デザインをいただいた中で、この湯沸を製作させていただき、私がいつか試してみたいとゆうことを、各所で詰め込むことができました。
一番大きな特徴は、やはり注ぎ口。
工房でほっと一息つく際に淹れるコーヒーの楽しみの質が、この注ぎ口のお陰で一層深くなりました。
生活を楽しむ道具として、このような形に出会わせていただいたことに、感謝しつつ。更なるご依頼にお応えできるように、腕を磨きたいと思います。

今回は、木工作家の三谷龍二さんからデザインをいただき、台湾茶やコーヒーなどにお使い良いような湯沸のご依頼をいただきました。
寸法をいただいての製作は、またひとつ気の入りが違うものです。
納得ゆくものになるまでの道程。
長くなりますが、2回に分けて、ご一緒いただけたら幸いです。

先ずは、いただいたデザインを前に、細部の確認から始まります。
お使いいただく状況や、気になる点など、いただいたデザインと私の経験を擦り合わせさせていただき、形をつめてゆきます。

そして徐に始まる、いつもの一枚の板から。
湯沸本体部の形を作り始めます。
銅は叩くと硬くなり、バーナーで火にかけると柔らかくなるとゆう性質があります。この焼き鈍しの作業と、叩く作業の繰り返し。

そして、今回重要なのは、ゲージを切ること。
外側の形をみるためのものと、内側の形をみるためのものを二つ。
現段階では、この内側のゲージが重要となります。
時々、合わせて膨らみを確認します。

ここで、上方を部分を縮める工程を動画で。
口の大きさを縮めることでできてくるシワ、これを重ねないように叩くことで、口の大きさは縮まってゆきます。
金属とゆうと固いイメージですが、この辺りは、粘土と同じような素質で形は変わります。

重要なのは、首の立ち上がりの位置と長さ。
首を決めることで、本体の形はいくらでも調整ができます。

ここでも重要になってくるのは、外側のゲージ。このゲージに合わせて形を見てゆき、デザイン画と目視のバランスをみつつ、外側に錫を焼き付けて銀色にし、最後の仕上げの叩きをします。
これで、本体は完成となります。

次回の小道具づくりへと続きます。

先年改装し併設された、生活手仕事研究所にて、みそづくりをしました。
鎚起銅器の手仕事と共に、このような手仕事も生活の中に染み込んでくれることで暮らしが豊かになればと思っています。
これからは、そんな模様もこちらでお伝えしてゆきたいと思っております。

大豆は、新潟市秋葉区のshida farmさんの自然栽培の大豆を使い、前日に浸水す。shidaさんの大豆は甘さが際立つ大豆。

一晩水に浸けたら、銅板を叩く隣で朝から茹で始め。
このステンレスの寸胴も、知人の鍋屋さんから傷物をいただいたものです。
これがあれば、いざとゆう時の炊き出しや、茜染の煮出しなどもできる、優れものです。

仕事に合間に、時々様子をみながらコトコトと。
今回は、朝8時から14時ごろまで茹でこみました。

麹は、長岡米を地元の麹屋さんが仕込んでくれたもの。
塩は、長崎平戸の海水を天日と釜で炊き上げたものを用意。

盥と秤、ざる、ボウル、入れ物を用意して、準備万端。

まずは、大豆を手で潰します。
豆の形が無くなったら、麹と塩を入れて満遍なく混ぜ合わせます。
時々、硬さを見てあげて、硬いようなら煮汁を入れて良き具合に。

後は、空気が入らないように、樽によく押し込んで密封したら完成です。
3キロで30分ほどの作業。
麹菌と共に、家の微生物、仕込んでくれたみんなの微生物が、これからの発酵で活躍してくれます。
まさしくな手前みそは、それぞれの味わいがあり、一日一杯のみそ汁で身体が喜ぶことを感じます。


みそについての詳しいことは、手仕事仲間の冨貴工房 冨田貴史さんが小冊子にまとめてくれています。こちら、手にとって読み込んでいただくことで、みそと私たちのより良き関係を築くきっかけになると思います。
生活手仕事研究所でも取り扱いしておりますし、冨貴工房HPでもお取り扱いしておりますので、是非。

また、合間を見つけてこのような手仕事の時間を、お伝えしたいと思いますので、お付き合いいただけたら幸いです。

先日発売された、クロワッサン4月10日号に、新潟出身の料理家の坂田阿希子さんが、モノづくりの町を訪ねるとゆう企画の中で、私の工房にも立ち寄ってくださいました。

坂田さんとのご縁は、2018年の1月3日。
1月2日の里帰り中に新潟市のヒメミズキさんにお立ち寄りいただき、私の銅鍋に関心を持っていただき、お会いしたのが始まりでした。

坂田さんにはミルクパンなども生活の中でお使いいただき、その感想をお聞きし、改善点を考えたりと、学びを深めさせてもらっています。
そんな坂田さんと、改めての工房でのひとときはとても楽しい時間でした。
お話しする中で、また新しいアイディアも生まれてきたり。
今、坂田さんと銅器の新しい企画をあたためています。
世の中が落ち着いた頃には、発表できると思いますので、もうしばしお待ちください。

坂田さん、昨年の11月には、代官山のヒルサイドテラスに洋食やさんをOPENされました。
洋食 KUCHIBUEさん Instagram
先日の東京出張の際に、寄せていただきましたが、光のいっぱいに差し込むお店。出張先の東京で、ほっと一息。
ゆで卵入りのグラタンが、とっても優しく沁み入りました。
是非、ほっと一息。
東京の真ん中でついていただけたら幸いです。

今回のクロワッサンには、暮らしの道具決定版とゆうことで、燕三条のものづくりもたくさん掲載されています。
また、坂田さんの記事には、私がお世話になった修行先の玉川堂と共に掲載していただいております。
鎚起銅器の幅の広さ、奥行きの深さを感じていただけたら幸いです。

只今、出張中の銅鍋づくり体験 西日本ツアーも
後半の福岡2daysを今週末に控えるのみとなりました。
大阪での開催にご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
そして、福岡でお会いするみなさんも、どうぞ、よろしくお願いいたします。

また、オーダーをいただいている皆様、帰り次第、工房に籠もり通常運転の製作に入らせていただきますので、しばしお待ちください。
現在、オーダーをいただいている方々の分で、5月半ばまで予定が埋まっておりますが、オーダーをご検討いただいているみなさん、その先に向けて図案のやりとりなどを含め、ご相談をさせていただきながら進めさせていただきますので、ご依頼をお待ちしております。

鎚起銅器の特徴は、一枚の平らな銅板を叩いて形にしてゆくこと。
既製品でも、オーダー品でも価格はほぼ代わりがありません。お客様の生活に合わせた器づくりを目指しておりますので、お気軽にご相談ください。
最近、製作の器をupさせてもらいます。
また、Instagramでもupしておりますので、ご参考にしていただけたら幸いです。

ロゴ入りトレイ

ジャムボウル

ミルクパン15センチ

香筒

一枚の板を叩き起こし、器にしてゆく鎚起銅器に於いて、お盆など、サイズは大きくても立ち上がりが少ない器は、手間はかかからず。口の大きさが小さくなるほど、背の高さがでるほどに、学び深き物になると今回の製作で感じさせてもらいました。

3枚の銅鍋を組み合わせて形にする香筒。
まずは、本体部分の製作から。
過去の動画も含めて、お伝えします。

図案から材料の大きさを計算し、大きな四角い板から金切鋏で切り出します。
そして、木台で立ち上げ、口の大きさを絞り始め。
口の大きさを絞ることにより、器の高さが出てきます。
今回の材料は1ミリ厚。

銅板は、叩くことに硬くなり、600度ほどに熱することで柔らかくなります。
叩いては、バーナーで火にかけ柔らかくする。その繰り返し。
カップなどは、10回ほどの焼き鈍しですが、今回は28回の焼き鈍しで形になりました。

垂直に立ち上げる場合、底からばかり立ち上げると底角部分が薄くなり破れてしまうために、途中は胴体部分に道具を引っ掛けて立ち上げる部分を変えてゆきます。

今回は、口径が小さいため、ひとつ道具をつくりました。以前、コークス炉で熱し叩き、曲げておいた鉄の棒をヤスリで磨き込み、整えてゆきます。

表情が出てくる器。
最初の図案を変更させていただき、この表情を活かす形とさせていただきました。
口径の大きさが決まってきたら、胴体部分の肉を削ぎ落とし、細身に。
金切り鋏で、口の部分を平行に整えつつ、全体の形を出してゆきます。

粗々と大きな金鎚で形を作り、最後は小さい金鎚で表面を整えます。均しとゆう作業。この作業を通して、肉の厚みの違いについて気付かされます。
普段のカップ製作では、一番厚いのが口部、次が底、薄い場所が底角となりますが、香筒では、底から2センチから5センチほどの場所が1.5ミリほどと一番厚く、次が口部、底。薄いのが底角部。

表情を保ちながら均し、3つのパーツが揃うように、整えます。

胴体下部完成の後、中合の製作。
板を丸めて合わせ、溶接。茶筒などを軽く作るためには、このような丸めて合わせつくる方法が、主な製品として流通しています。
胴体下部と、中合のすり合わせの後、胴体上部と中合の擦り合わせ。香筒を携帯した際に蓋が落ちないような硬さを保ちながら、蓋を取り外す際には硬くなりすぎない。使う場面を想像しつつ、調整を繰り返します。
今回は、スクリューキャップのように、捻りながら開け閉めするとゆう方法を提案させてもらいました。


全ての形が完成したら、器を綺麗に磨き、硫化カリウムを溶かした液に漬け込み、黒くします。その後、磨き落とし、緑青硫酸銅の混合液の中で2分ほど煮込み完成。
このような仕上げをすることで、指紋がつきにくく、色の深みがでる銅器となります。

自分では発案しないような、背の高い香筒を製作することで、鎚起銅器が1ミリ板の中で細胞が移動する姿を確認することができました。
叩き上げ手をかけることで、普段は見えない銅器の表情をを感じることができ、貴重な経験となった香筒づくりです。

最近は、殊に海外からのお問い合わせが増え、フランス、オーストリア、台湾、香港など各地からmailをいただき、鎚起銅器をお伝えする機会が増えていることを、心より嬉しく思います。
そんな中、HPを製作してもらった、新潟市ツムジグラフィカ高橋トオルさんが更にHPを進化してくれました。

中程で、動画が観れるようになりました。
この動画は、8年前の夏に、新潟市秋葉区の三方舎さんにて、初めての個展を開催させてもらった際に、代表の今井正人さんがつくってくださったものです。
この動画のお陰で、沢山の方に鎚起銅器職人として知っていただき、独立後の基礎を固めることができました。

一枚の銅板を叩き起こし器にする鎚起銅器。
手元にある器全てに、器になった理由、そして、使われることで経年変化して行先があるものです。
この手仕事を通して、そんな器に対する想像力を育めたら幸いに思います。


改めて、この動画を通して、鎚起銅器の世界に触れていただけたら幸いです。
8年間、続けてこれた感謝を込めて。