日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

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鎚起銅器に漆を塗る。
なぜ塗るのか。
普段は、イボタ蝋とゆう、以前は稲架木に干した稲につく虫を生成した、純粋な蝋を塗ります。
ただ、色にある一定の深みを出したい時、表面保護を強くしたい時。そんな時に漆を塗ります。漆を塗るといっても、全体に透明な漆を塗り、そして全部拭き取り、このように釜の中に入れて、焼いて定着させるのです。

木などに塗る、漆と同じものを使いますが、室に入れるわけではなく、焼き付けての定着。

ですので、本格的に漆の色を希望する時には本職の漆職人さんにお願いします。
こちらは、上越市の飯塚直人さんとの共作 イイハシナオタカ。

鎚起銅器の凹凸と漆の陰影が、相互に共鳴します。
このイイハシナオタカ。手に取っていただき、光に透かしみていただけたら幸いです。

インティマシー2020−「弱さの工芸」と「俗物」−と題して、10月3日土曜の18時より、youtubeにて無料動画配信を行います。
お話ししてくださるのは、毎年工場の祭典には足を運んでくださり、毎年ツバメコーヒーを会場として、デスカッションの話題提供をしてくださった、哲学者の鞍田崇さん。
2014年より、ツバメコーヒー 店主田中辰幸さんが企画デザインをしてくれ、私がものとしてつくりだす。とゆうことを積み重ねて来ました。
アンティークカップを模した銅カップ。鎚起銅器の特性を考え、平たく大きいものとしての魅力を引き出してくれた盆。お正月に出して愛でてもらえるような餅のオブジェなど、様々なものを。

その積み重ねて来たことを本としてまとめてみよう。とゆうことになり、2018年より出版を念頭に置き、活動を続けて来ました。
今、徐々に俗物とゆう題名の本も形になってきます。この本は、欲望、ものづくり、ライフスタイルの3つのテーマで書かれて、今各方面で活躍されているみなさんに執筆を依頼し、文章を寄せていただいています。

鞍田さんには、毎年定点的に田中さんとの活動を見守ってくださり、活動に深みを与えてくださっていると感じます。
今回の出版の際にも、最初に頭に浮かんだのが鞍田さんでした。
鞍田さんは、ものづくりを継承している各地へ赴き、営まれている事や時間を継続的に考え続けられている方です。
表題の画像も、鞍田さんから送られて来た琵琶湖の漁具。

そして、トークゲストとして今回は松本の木工作家 三谷龍二さんをお迎えして、今の工芸、そして生活とゆうものを考えてみたいと思います。
三谷さんにも文章を寄せていただいており、その文章を寄せていただくために製作したのが、こちらの湯沸でした。

湯沸づくりその1https://tsuiki-oohashi.com/2020/04/26/3926/
湯沸づくり その2https://tsuiki-oohashi.com/2020/04/27/3960/

三谷さんのお店10cmでは、「弱さの工芸」と題して展示会を開催されています。そして、鞍田さんもその展示に文章を寄せておられます。
このような、日々の関係性の中で育まれる言葉の大切さを強く感じる、今日この頃の世の中。
燕の辺境 ツバメコーヒー での大切なひとときとなると感じます。

今回は、このような状況だけに、ネットでの無料配信とゆうことで、離れた場所からもご参加いただけます。
是非、多くの方にご参加いただけたら幸いです。

「インティマシー2020」−「弱さの工芸」と「俗物」−
日時:10月3日(土)18:00-20:00
ライブ配信URL:https://youtu.be/xzYLyG0cm5Y
ゲスト
鞍田崇さん(哲学者)
三谷龍二さん(木工作家)
モデレーター:田中辰幸(ツバメコーヒー店主)

ライブ配信協力:ツムジグラフィカ
運営協力:つばめの学校
場所:ツバメコーヒー(新潟県燕市吉田2760-1)

スケジュール
18:00:鞍田崇さんプレゼンテーション
18:45:鞍田さん・三谷さん・ツバメコーヒータナカにてディスカッション19:45:質疑応答
20:00:終了予定(質問の数によっては20:30まで)

ゲストプロフィール
鞍田崇
哲学者。1970年兵庫県生まれ。
京都大学大学院人間・環境学研究科修了。
現在、明治大学理工学部准教授。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、現代社会の思想状況を問う。著作に『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会 2015)など。民藝「案内人」としてNHK-Eテレ「趣味どきっ!私の好きな民藝」に出演(2018年放送)。http://takashikurata.com/

三谷龍二
木工デザイナー。1952年福井市生まれ。
1981年松本市に工房PERSONA STUDIOを設立。陶磁器のような普段使いの木の器を作り、それまで家具中心だった木工に、新たな分野を開く。また、漆では、赤と黒の伝統色に「白漆」を加え、現代の暮らしに合う漆器の世界を作る。他に、日常から拾い上げた親密性の高い絵画や立体作品も制作する。木の器展多数。1985年より「クラフトフェアまつもと」(松本市)発足より運営に参加。「瀬戸内生活工芸祭」「六九クラフトストリート」など、「工芸と暮らしを結ぶ」活動を続ける。2011年 松本市内にギャラリー10cmを開店。http://www.mitaniryuji.com/

能登の旅の記録。
最後の締めくくりは、今回私を輪島に呼んでくださった、のがし研究所の萩のさんです。萩のさんは、昨年の冬に三条ものづくり学校に足を運んでくださり銅鍋づくり体験に参加してくださいました。
そのご縁で、地元輪島での銅鍋づくりに呼んでくださいました。
萩のさんの燕三条の旅は、blogにまとめてくださっているので、こちらをご覧下さい。
のがし研究所だより

会場である、のがし研究所さんは輪島の山の中。自然豊かなところで、美味しい清水も。このような環境で、地域で生まれるものを使い菓子づくりをされているのですね。昔ながらの菓子型も沢山ありました。

のがし研究所だよりにあるように、このような形の能登で切り出された珪藻土の七輪。手仕事で整えられたこの形の良い七輪や、地元でどんぐりから育てられ焼かれた炭を活用して菓子づくりをされています。
最近では、カフェもOPENされたとのこと。
萩野さんからご紹介いただいた、炭職人さんと七輪職人さんのことは、こちらのblogにまとめさせていただきました。
能登の旅 炭焼編
能登の旅 七輪編
のがし研究所さんで拝見した、こちらの七輪2台。これに惚れ込んで、私も3つの七輪を新潟に持って帰りました。

のがし研究所さん、設計が素晴らしかったのですが、全体像を写真に収めておらず、その姿は是非、直接に伺って感じていただけたら幸いです。
輪島でも多くの方が参加してくださいましたが、楽しみなお昼。グリーンカレーと玄米。そして、裏で取れた野菜を使った、地のものをたっぷりと使われて、身心ともに沁み入るご飯。

そして、私としてはメインとも感じるお菓子は、地酒を使った2種。
重陽の節句も近いことから、菊の名の入ったお酒を使い菊があしらわれたお菓子も。このような心遣い。季節を楽しむことを大切にしたいなと思うひととき。
私が持参した銅器も使ってくださり。銅鍋づくり体験の間に、風情ある時間を過ごすことができました。

ご飯をいただいた、一汁三菜の器は、禅僧の方が使われる椀とのこと。使い方も教わり、このようなものづくりの歴史を感じることもできました。

歴史と言えれば、お菓子のお持ち帰りをされる方々が持参された器に、文化のある街を実感しました。このような普段から地元で生まれた手仕事のものを使われていることによって、職人さんの仕事も育まれるのでしょう。
文化は早々に育まれるものではないですが、私も地元でこれからの文化を育める一助として、普段からの使う器から、持ち運びする際の器についても考える機会となりました。
入れ子になるお重。沈金のお重。どちらも素晴らしい風合いを手に伝えてくれます。

今回、輪島から奥能登珠洲市へ伺うことで、ものづくりの自然な連携を感じました。自分がつくっているものだけではなく、それが使われてい環境。食べ物から、燃料から、道具から。その一連の流れが自然で優しいことの大切さを感じる旅となりました。
その一連の流れのひとつの道具として、銅鍋も活用いただけたら幸いに思います。

炭職人さんに続き、伺ったのが珪藻土を切り出して七輪をつくっておられる能登燃焼器工業さん。こちらの舟場さんものがし研究所 萩のさんにご紹介いただき、訪れさせてもらいました。

仕事のお邪魔になるのではないかと思いつつも、伺った現場。やはり、職人として現場でお話をお聞きできること、現場を見れることで学びが深くなるものだなと感じたひとときでした。
そして、七輪の歴史を知ることで、またもや思い込みを外してもらいました。
七輪といえば、私も仕事で使っていますが、丸いものと思い込んでいましたが、七輪の始まりは切り出しでつくられ四角いものだったとのこと。私が想像する七輪は昭和に入ってから量産体制に入り、練り物でつくられ金型に押し込んでつくられるものだったようです。
そして、今は長方形のものが主流だとか。
当たり前に見ていて、それが当然だと思い込む危うさ。
確かに手仕事の工程を考えれば、丸いものは手間がかかり、四角く作る方が理に適っています。
一方、金型をつくり練り物でつくのであれば、丸い方が理にかなっている。
ものづくりの歴史は、理りで出来ていると考えますが、七輪にもそれを感じました。
そして、一連の流れを同世代の舟場さんからご案内いただきました。
まずは、山を掘り進める坑道入口から。

この中に入ると、電波も通じず。ひとりで黙々と作業をするとのこと。暗闇の中1日を過ごす精神力に、尊敬の念を感じずにはいられません。
この中に入り、刃物を使い手作業で掘り出すとのこと。食感としては、チョコレートやカレーのルゥのような硬さがあるようです。
こちらは、掘り出すための道具。
近辺の野鍛治職人も少なくなって来ているようです。七輪の切り出しの職人が少なくなれば、その道具をつくる職人も少なくなる。
これからは、それぞれの地域の連携が更に大切になってゆくことでしょう。

掘り出した四角い材を、成形。七輪づくりは分業制で、専門の職人さんが黙々と作業をされていました。見慣れた七輪。
丸い穴は大きなボール盤のようなもので削られていましたが、この内側のギザギザも鑿のようなもので、ひとつひとつ切り取られていました。
用途によって変わる形と、それに合わせてつくられる鑿達。美しいです。

この時点では、水分が50%ほどあるとか。これを、大きな窯で二晩。薪で焚き続けて、硬くなります。
焼き締められた後に、大きな仕上げ場に。ここで、ヤスリをかけたり、金具をつけたり、検品をされて、出荷を待つ七輪達。
この仕上げ場は、廃校になった小学校の体育館だとか。時代を感じさせる趣と、変わらない作業を続けるみなさん。

私の手元に来た、3つの七輪。
「この佇まいどうですか!」と言わずとも、この姿を見たらきっと多くの人がわかってくれると感じる七輪。

仕事で使うことがあっても、生活の中で使うことが今まではありませんでしたが、これなら使ってみたいと思わせてくれる七輪。
この秋には、秋刀魚を焼いて、茄子焼いてと想像が膨らみます。
鎚起銅器の歴史の中で、湯沸や銅鍋がよく使われた理由には、以前は炭火などのガスなどに比べて火力が弱い時代でも、熱の伝導率が良く湧きが早いために使われていたといいます。
この上に置かれた銅器はどんな表情をするだろうか、と想像しつつ。

炭職人の大野さん、七輪の舟場さんの手仕事に触れて、帰ってからの製作エネルギーをいただきました。
この留めどないエネルギーとともに、新潟に帰ります。

先日の、4日金曜日より始まりました。香川県高松市ミゾブチ家具さんでの三人展。私も初日から在店させていただき、3日間にわたり鎚起銅器をお伝えする機会をいただきました。
ミゾブチ家具さんでの展示は2回目。
今回は、ミゾブチ家具さんも店舗の一部をリニューアルとゆうことです。新しくSOLIDさんの家具の売り場づくりをされたとのこと。
心配りの行き届いた環境。ご来場の常連のみなさんも、ミゾブチさんの言葉でお伝えしていただいているお陰で、鎚起銅器に興味を持っていただき、私も安心してお伝えすることができました。
このように750キロほど離れた地で、燕に古くから伝わる技術をお伝えできることを嬉しく思います。

今回も、美術家の藏本秀彦さん、陶芸家の上野剛志さんとご一緒し、展示会場から懇親会まで、様々なお話を交わすことができました。
ミゾブチ社長も含め「何年前からご一緒なのですか?」と言われるほどに、意気投合し。ものづくりとしての心根や今考えていることを、率直にお話しする機会を得ています。

「Meet in Sanuki」
日程 9月4日金曜から9月13日日曜 定休日水曜
会場 ミゾブチ家具(香川県高松市香川町朝の1306-5)
時間 10時から19時
お問い合わせ 087-879-7111

会期は今度の日曜日、13日まで開催。

近辺には、落ち着いた雰囲気の温泉もあります。
私は、地元の電車「ことでん」に乗ってゆきました。このうちわを窓口で買うことで、ことでんの一定区間の1日乗車券と入浴券タオル付きとなります。


温泉の最寄駅、仏生寺には図書室があり、風情を感じさせてくれます。

仏生寺駅から歩いて10分ほど、すっきりとした建物が出て来たら、それが仏生寺温泉。

大きな窓からいっぱいの光を取り込み。庭を中心にぐるりと囲むようにお風呂が並んでいます。
また、この施設では駅と同じように、古本の販売をしていて、湯船でも読めるとのこと。33度ほどのぬるい温泉だけに、本好きには良き環境。
また、ゆっくりと訪れたい場所のひとつとなりました。

また、高松市内の高台、峰山公園には展望台があり、瀬戸内海を見晴るかすことができます。アスレチックや林の中を抜けると、そこには気持ちの良い風が吹き抜ける展望台。
屋島や小豆島を始め、様々な島を眺めることができました。

そして、香川といえば讃岐うどん。今回の3日の滞在でも毎日うどんをいただきました。四角くて腰のあるうどんと天ぷら。そして、おでんと堪能させてもらう日々。

是非、ミゾブチ家具さんでの展示会に足を運んでいただくと共に、高松の街を楽しんでいただけたら幸いです。

私も早速、生活手仕事研究所の本棚の上に、藏本さんの作品を。そして上野さんの器に梅干しを入れて、日々の楽しみが増えました。
また、お声がけいただける機会があるように、製作に邁進したいと思います。

今回は、四国は高松ミゾブチ家具さんでの搬入と在店から、能登は輪島ののがし研究所さんに呼んでいただき、銅鍋づくり体験会の旅。
新潟から、四国、能登と駆け回ってほっと一息。
そんな旅の模様を書き留めておきたいと思います。
先ずは、直近の出会いからお伝えしたいと思います。
輪島での銅鍋づくり体験会を終え、骨休みに奥能登の宿へ向かう途中。のがし研究所の萩のさんにご紹介いただいた、炭焼き職人 大野さんと珪藻土の七輪を作っておられる舟場さんの工場にお邪魔したました。

大野さんが作られているお茶用の炭は、菊炭と言われるもので、美しく炎を見せてくれる炭とのこと。
カルチャーショック、とはこのことでしょう。
炭はいくつかのものを組み合わせて、空気の流れをつくって着火させるもの。と思っていましたが、1つでも着火させ火を保つ七輪と共に、この菊炭を卓上で使えるように提案してくださっています。
火を愛でながら、お茶やコーヒーなどを楽しむ豊かな時間。
想像をしただけで、とても心が踊り出すものがありました。

珠洲市の山の中で、炭焼きをされている現場の写真は撮り忘れてしまいましたが、そこで日々炭焼きをされている大野さんの姿と、このように身近に炭を使う提案をされている姿に、骨休みのエネルギーをいただきました。


鎚起銅器が以前多く使われていたのは熱伝導率が良い故に、炭火などの火力の小さいものでも、脇が早かったから。
この卓上のセットでも、銅器を組み合わせて、何か豊かな時間の添え物になる器はつくれないかと考えています。
私なら、やはり熱燗をつけて、呑みながら肴をあぶりながら、炎を愛でる。
といったところでしょうか。
帰ってからの試作が楽しみです。
最近は、お茶の世界でも炭を使うことが少なくなったようですが、この火の魅力は身近におきたいものです。

次回は、大野さんの炭を活かす土台の珪藻土の七輪を作っておられる、舟場さんのところに寄せていただいた時間を書き留めたいと思います。