日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

湯沸 1.8ℓ

パエリア鍋

ランプシェード

ランプシェード

ランプシェード

ランプシェード

鎚起銅器では、一人の職人が最初から最後まで製作できるようになることが大切となります。
一貫した作業。
このような銅の弦に籐を巻きつけることも全てします。
マニアックな映像となりますが、淡々と巻き続けることで、一定のリズムが生まれる弦巻きです。

巻いた弦に、飾りを入れる作業。

この10月16日金曜から18日日曜まで、新潟市松浜 アトリエ ニコさんにて開催させていただいた、大橋保隆と川嶋理良の二人展「Touki to Douki」の後編になります。

中編でお伝えした共作の他にも、生活の身近に置いていただけたら、そして楽しいひと時のお供になればとゆう食器がたくさん並びました。

鎚起銅器をデザインしてくれた、箸置きやブローチも。

私も、昨年の工房階層の際に製作し、製品化した真鍮の金具も展示。
一枚の銅板を叩き上げて形にする器ではないのですが、鎚起銅器を製作する中で育まれた技術を使ってのプロダクト。
部屋のどこかにそっと、取り付けていただけたら嬉しく思います。

羽ヶ崎家で毎日愛用してくださっている、コーヒーポットもこの三日間は出動、香り高いコーヒーを沢山の方が楽しんでくださいました。このように、鎚起銅器が実際に使われている模様に触れていただることも、嬉しい時間です。

庭には、りらさん作のロバも。
りらさんは、このような動物シリーズも製作されていて、ほっこりとするようなアイテムも。

このような形での二人展は初めてのこと。
大橋保隆と川嶋理良。お互いが日々ものをつくる中で感じたことを、言葉にしやりとりを重ねる中での発見が、形になったと思います。
私たちが製作した器もそうですが、訪れていただいた空間に満ちる雰囲気も、羽ヶ崎家のみなさんの日々の営みが染み込んでいる場所だからこそだなと感じる三日間でした。

訪れてくださった皆さん。
遠くから応援くださった皆さん。
気持ちを向けてくださった皆さん。
様々なみなさんのお力をいただき、秋晴れの中、展示会を終えることができました。
今回いただいたことを糧に、また、数年たち成長した姿でお会い出来るように、日々の製作に励んでまいります。

この会期に向けて、製作した共作の数々。

後編では、三日間の会場の模様をお届けしたいと思います。

10月16日金曜から18日日曜まで、新潟市北区アトリエニコさんで開催させていただきました。大橋保隆 川嶋理良二人展「Touki to Douki」は、134名のみなさんにご来場いただき、盛況のうちに幕を閉じることができました。
ご来場をいただいたみなさん、ご関心を向けくださったみんさん、また会場を快く提供してくださり、三日間をあたたかくサポートしてくださった羽ヶ崎家には心より感謝します。
今回のTouki to Doukiの始まりは、先年、私の工房に併設されている生活手仕事研究所の改装の際に、建築士である羽ヶ崎さんが協力してくださり、その際に生まれた真鍮の金具をいつか展示したいと話しており。
そして、群馬県高崎市はるなの陶芸家 川嶋りらさん(以後、りらさん)にお会いし、ものづくりについての話が深まる中で、アトリエニコさんの会場に器がぴったりだなと私が感じたことが始まりでした。

アトリエニコさんは建築事務所であり、水曜木曜金曜はカフェとして営業されて、ご自身たちで作り上げた空間をお客様に感じてもらっています。
その中に、りらさんの器を提供しお菓子を出していただいたりと、その溶け込み具合を会期前からお客様に提供させてもらいました。

りらさんの生活を楽しんでもらえる器と共に。
この展示会に向けての目玉は、香炉やお重、キャニスターの共作。
りらさんが本体をつくり、私が蓋をつくるとゆう役割分担。思う存分に陶器をつくってもらい、それを受け取った私が蓋の形を考えてとゆう流れで、まずはひとつ目の香炉が出来上がりました。

普段の製作でも、私は蓋物を製作することはありますが、陶器との擦り合わせは初めて。土物の柔軟さにどう擦り合わせたらいいかを深く学ぶ機会。
もう少し、もう少しと鑢をかける。そのもう少しがどこまで続くのかと。なかなか思ったところに落ち着かない擦り合わせ。
しかし、その擦り合わせの中から、ぴったりと収まる点をみつける楽しさ。
このように共作は進んでゆきます。
後編に続く。

毎年、10月の第1週に開催される工場の祭典
新型コロナウィルス感染症の影響で、いつもの開催は中止となり。今年は、1ヶ月の動画配信となっているとのことです。
工場の祭典の期間に合わせて、私もツバメコーヒー の店主田中さんと様々に企画を積み重ねて来ました。その集大成が今制作を進めている「俗物」とゆう「ものづくり」「ライフスタイル」「欲望」を三本柱にした本の出版。
世の中としては、まだまだ混沌としていますが、こんな時だからこそ、毎年のことを続けてゆこうとゆうことで、今年もトークイベントを開催させていただきました。
毎年、とゆうことで。
いつも工場の祭典に足を運んでくださり、田中さんと私を見守ってくれている 哲学者の鞍田崇さんに、ディスカッションの場に向けて「インティマシー2020 -「弱さの工芸」と「俗物」―」とゆう題名で、話題提供をしていただきました。
また、鞍田さんとともに、今回の本にも執筆をしてくださっている、木工作家の三谷龍二さんもゲストとしてお迎えしました。三谷さんも、松本のご自身のお店10cmさんにて「弱さの工芸」と題して展示会を開催しておられ、鞍田さんの話題提供の後には、三谷さん、田中さんとの鼎談。
そんな模様が、2時間30分に私、以下の動画サイトからご覧いただけます。https://www.youtube.com/watch?v=xzYLyG0cm5Y&feature
10月11日までの限定公開になりますので、是非、この機会にご覧いただけたらと思います。

ものづくりと言葉。
それぞれの世界を行ったり来たりしながら。
咀嚼して
また咀嚼して。
そして、滲み出てくるものを感じるには、直ぐなにかとゆう訳ではない
ですが
この現場で感じたことを、噛み締めて日々の仕事を進めてゆきたいと思います。

また、このタイミングで、三谷龍二さんがデザインしてくださり、私が製作した湯沸の動画を、新潟市のデザイナー ツムジグラフィカ 高橋トオル氏が制作してれました。
デザインと銅の素材の擦り合わせをして形になった湯沸。このような道程でつくり、お届けに行く際の動画です。
湯沸づくりその1https://tsuiki-oohashi.com/2020/04/26/3926/
湯沸づくり その2https://tsuiki-oohashi.com/2020/04/27/3960/

こちらは、3分ほどの動画となっておりますので、合わせてご覧いただけたら幸いに思います。
https://www.youtube.com/watch?v=VAR6G0CtGyI
こちらも、すぐに形になるとゆうわけではないもの。すぐに形になるわけではないものの中に、人は何を感じるのでしょうか。
そして、今日も銅板を叩きたいと思います。

鎚起銅器に漆を塗る。
なぜ塗るのか。
普段は、イボタ蝋とゆう、以前は稲架木に干した稲につく虫を生成した、純粋な蝋を塗ります。
ただ、色にある一定の深みを出したい時、表面保護を強くしたい時。そんな時に漆を塗ります。漆を塗るといっても、全体に透明な漆を塗り、そして全部拭き取り、このように釜の中に入れて、焼いて定着させるのです。

木などに塗る、漆と同じものを使いますが、室に入れるわけではなく、焼き付けての定着。

ですので、本格的に漆の色を希望する時には本職の漆職人さんにお願いします。
こちらは、上越市の飯塚直人さんとの共作 イイハシナオタカ。

鎚起銅器の凹凸と漆の陰影が、相互に共鳴します。
このイイハシナオタカ。手に取っていただき、光に透かしみていただけたら幸いです。

インティマシー2020−「弱さの工芸」と「俗物」−と題して、10月3日土曜の18時より、youtubeにて無料動画配信を行います。
お話ししてくださるのは、毎年工場の祭典には足を運んでくださり、毎年ツバメコーヒーを会場として、デスカッションの話題提供をしてくださった、哲学者の鞍田崇さん。
2014年より、ツバメコーヒー 店主田中辰幸さんが企画デザインをしてくれ、私がものとしてつくりだす。とゆうことを積み重ねて来ました。
アンティークカップを模した銅カップ。鎚起銅器の特性を考え、平たく大きいものとしての魅力を引き出してくれた盆。お正月に出して愛でてもらえるような餅のオブジェなど、様々なものを。

その積み重ねて来たことを本としてまとめてみよう。とゆうことになり、2018年より出版を念頭に置き、活動を続けて来ました。
今、徐々に俗物とゆう題名の本も形になってきます。この本は、欲望、ものづくり、ライフスタイルの3つのテーマで書かれて、今各方面で活躍されているみなさんに執筆を依頼し、文章を寄せていただいています。

鞍田さんには、毎年定点的に田中さんとの活動を見守ってくださり、活動に深みを与えてくださっていると感じます。
今回の出版の際にも、最初に頭に浮かんだのが鞍田さんでした。
鞍田さんは、ものづくりを継承している各地へ赴き、営まれている事や時間を継続的に考え続けられている方です。
表題の画像も、鞍田さんから送られて来た琵琶湖の漁具。

そして、トークゲストとして今回は松本の木工作家 三谷龍二さんをお迎えして、今の工芸、そして生活とゆうものを考えてみたいと思います。
三谷さんにも文章を寄せていただいており、その文章を寄せていただくために製作したのが、こちらの湯沸でした。

湯沸づくりその1https://tsuiki-oohashi.com/2020/04/26/3926/
湯沸づくり その2https://tsuiki-oohashi.com/2020/04/27/3960/

三谷さんのお店10cmでは、「弱さの工芸」と題して展示会を開催されています。そして、鞍田さんもその展示に文章を寄せておられます。
このような、日々の関係性の中で育まれる言葉の大切さを強く感じる、今日この頃の世の中。
燕の辺境 ツバメコーヒー での大切なひとときとなると感じます。

今回は、このような状況だけに、ネットでの無料配信とゆうことで、離れた場所からもご参加いただけます。
是非、多くの方にご参加いただけたら幸いです。

「インティマシー2020」−「弱さの工芸」と「俗物」−
日時:10月3日(土)18:00-20:00
ライブ配信URL:https://youtu.be/xzYLyG0cm5Y
ゲスト
鞍田崇さん(哲学者)
三谷龍二さん(木工作家)
モデレーター:田中辰幸(ツバメコーヒー店主)

ライブ配信協力:ツムジグラフィカ
運営協力:つばめの学校
場所:ツバメコーヒー(新潟県燕市吉田2760-1)

スケジュール
18:00:鞍田崇さんプレゼンテーション
18:45:鞍田さん・三谷さん・ツバメコーヒータナカにてディスカッション19:45:質疑応答
20:00:終了予定(質問の数によっては20:30まで)

ゲストプロフィール
鞍田崇
哲学者。1970年兵庫県生まれ。
京都大学大学院人間・環境学研究科修了。
現在、明治大学理工学部准教授。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、現代社会の思想状況を問う。著作に『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会 2015)など。民藝「案内人」としてNHK-Eテレ「趣味どきっ!私の好きな民藝」に出演(2018年放送)。http://takashikurata.com/

三谷龍二
木工デザイナー。1952年福井市生まれ。
1981年松本市に工房PERSONA STUDIOを設立。陶磁器のような普段使いの木の器を作り、それまで家具中心だった木工に、新たな分野を開く。また、漆では、赤と黒の伝統色に「白漆」を加え、現代の暮らしに合う漆器の世界を作る。他に、日常から拾い上げた親密性の高い絵画や立体作品も制作する。木の器展多数。1985年より「クラフトフェアまつもと」(松本市)発足より運営に参加。「瀬戸内生活工芸祭」「六九クラフトストリート」など、「工芸と暮らしを結ぶ」活動を続ける。2011年 松本市内にギャラリー10cmを開店。http://www.mitaniryuji.com/

能登の旅の記録。
最後の締めくくりは、今回私を輪島に呼んでくださった、のがし研究所の萩のさんです。萩のさんは、昨年の冬に三条ものづくり学校に足を運んでくださり銅鍋づくり体験に参加してくださいました。
そのご縁で、地元輪島での銅鍋づくりに呼んでくださいました。
萩のさんの燕三条の旅は、blogにまとめてくださっているので、こちらをご覧下さい。
のがし研究所だより

会場である、のがし研究所さんは輪島の山の中。自然豊かなところで、美味しい清水も。このような環境で、地域で生まれるものを使い菓子づくりをされているのですね。昔ながらの菓子型も沢山ありました。

のがし研究所だよりにあるように、このような形の能登で切り出された珪藻土の七輪。手仕事で整えられたこの形の良い七輪や、地元でどんぐりから育てられ焼かれた炭を活用して菓子づくりをされています。
最近では、カフェもOPENされたとのこと。
萩野さんからご紹介いただいた、炭職人さんと七輪職人さんのことは、こちらのblogにまとめさせていただきました。
能登の旅 炭焼編
能登の旅 七輪編
のがし研究所さんで拝見した、こちらの七輪2台。これに惚れ込んで、私も3つの七輪を新潟に持って帰りました。

のがし研究所さん、設計が素晴らしかったのですが、全体像を写真に収めておらず、その姿は是非、直接に伺って感じていただけたら幸いです。
輪島でも多くの方が参加してくださいましたが、楽しみなお昼。グリーンカレーと玄米。そして、裏で取れた野菜を使った、地のものをたっぷりと使われて、身心ともに沁み入るご飯。

そして、私としてはメインとも感じるお菓子は、地酒を使った2種。
重陽の節句も近いことから、菊の名の入ったお酒を使い菊があしらわれたお菓子も。このような心遣い。季節を楽しむことを大切にしたいなと思うひととき。
私が持参した銅器も使ってくださり。銅鍋づくり体験の間に、風情ある時間を過ごすことができました。

ご飯をいただいた、一汁三菜の器は、禅僧の方が使われる椀とのこと。使い方も教わり、このようなものづくりの歴史を感じることもできました。

歴史と言えれば、お菓子のお持ち帰りをされる方々が持参された器に、文化のある街を実感しました。このような普段から地元で生まれた手仕事のものを使われていることによって、職人さんの仕事も育まれるのでしょう。
文化は早々に育まれるものではないですが、私も地元でこれからの文化を育める一助として、普段からの使う器から、持ち運びする際の器についても考える機会となりました。
入れ子になるお重。沈金のお重。どちらも素晴らしい風合いを手に伝えてくれます。

今回、輪島から奥能登珠洲市へ伺うことで、ものづくりの自然な連携を感じました。自分がつくっているものだけではなく、それが使われてい環境。食べ物から、燃料から、道具から。その一連の流れが自然で優しいことの大切さを感じる旅となりました。
その一連の流れのひとつの道具として、銅鍋も活用いただけたら幸いに思います。

炭職人さんに続き、伺ったのが珪藻土を切り出して七輪をつくっておられる能登燃焼器工業さん。こちらの舟場さんものがし研究所 萩のさんにご紹介いただき、訪れさせてもらいました。

仕事のお邪魔になるのではないかと思いつつも、伺った現場。やはり、職人として現場でお話をお聞きできること、現場を見れることで学びが深くなるものだなと感じたひとときでした。
そして、七輪の歴史を知ることで、またもや思い込みを外してもらいました。
七輪といえば、私も仕事で使っていますが、丸いものと思い込んでいましたが、七輪の始まりは切り出しでつくられ四角いものだったとのこと。私が想像する七輪は昭和に入ってから量産体制に入り、練り物でつくられ金型に押し込んでつくられるものだったようです。
そして、今は長方形のものが主流だとか。
当たり前に見ていて、それが当然だと思い込む危うさ。
確かに手仕事の工程を考えれば、丸いものは手間がかかり、四角く作る方が理に適っています。
一方、金型をつくり練り物でつくのであれば、丸い方が理にかなっている。
ものづくりの歴史は、理りで出来ていると考えますが、七輪にもそれを感じました。
そして、一連の流れを同世代の舟場さんからご案内いただきました。
まずは、山を掘り進める坑道入口から。

この中に入ると、電波も通じず。ひとりで黙々と作業をするとのこと。暗闇の中1日を過ごす精神力に、尊敬の念を感じずにはいられません。
この中に入り、刃物を使い手作業で掘り出すとのこと。食感としては、チョコレートやカレーのルゥのような硬さがあるようです。
こちらは、掘り出すための道具。
近辺の野鍛治職人も少なくなって来ているようです。七輪の切り出しの職人が少なくなれば、その道具をつくる職人も少なくなる。
これからは、それぞれの地域の連携が更に大切になってゆくことでしょう。

掘り出した四角い材を、成形。七輪づくりは分業制で、専門の職人さんが黙々と作業をされていました。見慣れた七輪。
丸い穴は大きなボール盤のようなもので削られていましたが、この内側のギザギザも鑿のようなもので、ひとつひとつ切り取られていました。
用途によって変わる形と、それに合わせてつくられる鑿達。美しいです。

この時点では、水分が50%ほどあるとか。これを、大きな窯で二晩。薪で焚き続けて、硬くなります。
焼き締められた後に、大きな仕上げ場に。ここで、ヤスリをかけたり、金具をつけたり、検品をされて、出荷を待つ七輪達。
この仕上げ場は、廃校になった小学校の体育館だとか。時代を感じさせる趣と、変わらない作業を続けるみなさん。

私の手元に来た、3つの七輪。
「この佇まいどうですか!」と言わずとも、この姿を見たらきっと多くの人がわかってくれると感じる七輪。

仕事で使うことがあっても、生活の中で使うことが今まではありませんでしたが、これなら使ってみたいと思わせてくれる七輪。
この秋には、秋刀魚を焼いて、茄子焼いてと想像が膨らみます。
鎚起銅器の歴史の中で、湯沸や銅鍋がよく使われた理由には、以前は炭火などのガスなどに比べて火力が弱い時代でも、熱の伝導率が良く湧きが早いために使われていたといいます。
この上に置かれた銅器はどんな表情をするだろうか、と想像しつつ。

炭職人の大野さん、七輪の舟場さんの手仕事に触れて、帰ってからの製作エネルギーをいただきました。
この留めどないエネルギーとともに、新潟に帰ります。