日記

ものづくりやワークショップなどの様々な活動、
日々思うことなどを綴っています

10月1日金曜より31日日曜まで、GINZA SIX 6階 銀座蔦屋書店様にて展示会を開催中です。
今回のテーマは、「あたたかな金属」。
鎚起銅器に於いて、最初の材料は長方形の板からで、どんな器にもなれる可能性を持っています。そこから運命を決めるように丸や楕円に切り出し、火にかけて焼き鈍しをし、金鎚や木槌で打ち起こしてゆきます。
その工程の中で、どんなあたたかさが込められるのか。
是非、手に取っていただき、感じていただけたら幸いです。

今回は、湯沸や鍋など昔ながらの銅器の特徴を活かした道具から、盆や豆皿など身近に感じていただける銅器。水差しや真鍮スプーン、カップなど100点程の銅器を展示していただいております。

そして、今回は「薬味入れ」を新作としてつくらせてもらいました。
胴体部分は群馬県のはるな陶芸工房 川嶋理良さんに依頼し、しっかりとした土台をつくっていただいただけに、蓋部分の製作は様々な形をつくることができました。

未だ、明けない世の中ですが、生活を楽しむひとつの道具として、鎚起銅器に触れていただけたら幸いです。

会期 2021年10月01日(金) – 2021年10月31日(日)
時間 当店Webサイトをご確認ください。
場所 文具売場主催 銀座 蔦屋書店
問い合わせ先 03-3575-7755

私の工房から徒歩2分の玉川堂。
「この門から入るにはお客様だけ。」と父に言われてから、丸24年が経ちました。

鎚起銅器の世界に入りまして、昨日で丸24年
玉川堂で10年修行し独立させてもらい、昨日で丸14年が経ちました。
本日より、25年目。

いつものように掃除をし、いつものように窓を開け、いつものように仕事を始める。
いつもと変わらない1日。
このような日々を今も過ごせること、独立してからの14年間を振り返ると、支えてくださったみなさんへの心からの感謝が湧き上がってきます。

そして、この25年目は、お客様からのご注文をきっちりと仕上げる事と共に、私の中から湧き上がってきたものを形にすることを旨に製作に励みます。

来年の1月1日には、3年越しの鎚起銅器に関する本も出版します。
また、その他もいくつかの企画を旨に、今年いっぱいは自分の身辺の整理整頓をし、じっくりと年明けを待ちます。

成長するからこその、変わらない日々。
一歩一歩と着実に、皆様に磨き鍛えていただきならが、歩みを進めますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

毎年参加させていただいております
東京神宮前 shizenさんにて開催される「ひやおろし展」
日本酒の秋を感じさせるひやおろしを楽しんでいただけるように、製作を進めております。

盆やオーバル盆は、冷蔵庫で冷やしてお刺身などを盛り付けたり。
カップはお水やお茶をいただくチェイサーの入れ物として。
自分自身の日々の使い勝手の中から、今回に向けてより良きものを形にしたいと考えています。

ひやおろし展
2021年9月22日水曜〜27日月曜まで
12時〜19時(最終日17時まで)
詳細は、うつわshizenさんのblogをご覧ください。
https://shizenshop.exblog.jp

私が玉川堂に勤めている際には、大阪の造幣局の新人の方々が見学に毎年来られていました。
紙幣を印刷しているのが国立印刷局、こちらは紙幣の他にも、切手やパスポートなど公のものを偽造されないよう高い技術で印刷されています。
そして、硬貨や勲章などを製造しているのが造幣局、こちらも偽造されないような高い技術が年々更新されているようです。
その高い技術は、燕三条でのスプーンやフォークなどの金型技術と源流を同じくし、その為に造幣局は、燕三条とも親交があるようです。

この硬貨を製造する技術は彫金技術であり、燕三条金型製作とゆう流れと、私たちがつくる銅器などの表面に模様を施す技術に大きくふたつに別れます。
こちらは古道具屋さんで手に入れた額ですが、旧財務省の退職記念に贈られた記念品。このような記念品をつくり重ねることで、技術を更新しているようです。

造幣局も国立印刷局も、共に独立行政法人。
特に造幣局は収益を上げるために、様々な取り組みをしています。
こちらのプルーフ硬貨は、硬貨として使うこともできますが、観賞用として製作されたもので、普段使っている効果よりも特別丁寧に製造されているとのこと。
酸化せずにピカピカと光っています。

幕末から明治にかけて活躍した彫金師に加納夏雄がいます。この加納夏雄は幕末までは刀剣装飾を生業としていましたが、明治に入り新貨幣の原型製作依頼を依頼、その技術の高さは外国の技師たちを驚嘆させたとのこと。
こちらのプルーフ効果の中心には、龍のコインが入っていますが、こちらはその加納夏雄の銀貨を模したもののようです。

こちらのプルーフ硬貨。
手に取った際の感動は言いようもありません。
普段使っているものと、デザイン等は同じですが彫金に携わるものとして、この美しさに魅了されます。

造幣局は、オンラインショップも開設しておりますので、何かの機会に手に取っていただき、実物をじっくりとご覧いただけたら嬉しく思います。

純銅とゆう言葉を最近聞くことが多く。
私なりに感じていることをまとめておきます。

純とゆう字がつくと洗練された様に感じますが、基本的には銅と呼ばれるものは99.5パーセント以上の純度を持った素材です。
銅は他の素材が混ざることで、黄銅や青銅、白銅など、呼び名が変わります。

金や銀は、純がつくことでその純度が明確になり。混ざり物がでることで、18K、10K、950銀、925銀、スターリングシルバーと呼ばれます。
ですので、金や銀で使われる純とゆう冠と、銅につく場合の純は違うとゆう認識です。

私も日々の政策で、銅以外にも非鉄金属である、金や銀、真鍮などをつかうこともあります。それぞれの特性はありますが、原理は一緒で熱をかけ柔らかくし、叩くことにより成形してゆきます。
現商品でも鍋や片手パンなどは、本体は銅で取っ手を真鍮にしていますが、これも真鍮は熱伝導率が低いので銅よりは熱くなりにくいとゆうことで使用しています。このように様々な金属の組み合わせを今後も試してゆき、商品に生かしてゆきます。

金 24K(純金)、18K、14K、10K
銀 1000銀(純銀)、950銀、925銀、スターリングシルバー

純銅
黄銅(真鍮) 銅と亜鉛の合金 5円玉硬貨
青銅 銅と錫の合金 10円硬貨
白銅 銅とニッケルの合金 100円硬貨、50円硬貨
洋白 銅と亜鉛とニッケルの合金 500円硬貨

「伝統工芸」とゆう言葉を聞いて、どんなものを想像されるでしょうか?
この言葉には多義的な意味を含みながら、使われることが多いのですが、新潟県燕市のいち職人の視点からの「伝統工芸」を書き留めておきます。

まず、私の生業である鎚起銅器、これも伝統工芸と呼ばれることがありますし、200年前から燕に伝わる技術で確かに伝統工芸です。ただ少し視点を変えて国からの指定とゆう点で見ると、燕鎚起銅器として伝統的工芸品とゆう呼び方になります。
以下、伝統的工芸品産業振興協会HPより
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経済産業大臣指定 伝統的工芸品とは
●生活に豊かさと潤いを与える工芸品
●機械により大量生産されるものではなく、製品の持ち味に大きな影響を与えるような部分が職人の手づくりにより作られています。
●100年以上前から今日まで続いている伝統的な技術や技法で作られたものです。
●品質の維持や持ち味を出すために、主要な部分が100年以上前から今日まで伝統的に使用されてきた材料でできています。
●一定の地域において、ある程度の規模を形成してつくられてきたものです。
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伝統的工芸品は全国に236品目あり、新潟県には仏壇、漆器、刃物、織物なの16品目あり、東京、京都に次ぐ3番目。伝統定期工芸品として経済産業省から認定されるには、産地として地域産業としてある程度の規模が必要なようです。

このようなシールをご覧になったことがある方もおられると思いますが、この伝産シールが貼ってあることで、産地として伝統的工芸品として認めるとゆう証となります。ただ、このシールにもコストがかかるので、実際には伝統的工芸品としての技術でつくられても、シールを張らない場合もあります。

また、工芸の世界では、「伝統工芸」と言いますと、公益社団法人 日本工芸会とゆう会の動きを指す場合が多いです。日本工芸会は「用と美」を掲げ、伝統工芸展を開催しているため、私としてはこの会のことを伝統工芸と表現することが通常となっています。
この日本工芸会を登り詰めると、「重要無形文化財保持者」所謂、人間国宝に選定される場合があります。人間国宝は1つの技術に1名と決まっているため、実力がありつつ、時の流れを得た人が成れるようです。
鎚起銅器の世界でも、異なる金属を何重にも重ね、打ち延べて器をつくる鍛金に属する「木目金」とゆう技術で、玉川宣夫さんが人間国宝に文化庁の認定を受けています。

また、人間国宝と対をなすものが、文化勲章。
この文化勲章は、工芸の世界では日展などのオブジェなどの製作する作家さんが登り詰めると、こちらも文化庁から認定を受けます。
内実となりますが、人間国宝になると助成金として年間200万円。文化勲章をもらうと終身年金として年間350万円が支給されるとのこと。
この辺りの際も興味深いです。

無形文化財とゆう言葉がでてきたので付記しておくと、燕鎚起銅器は、記録作成等の処置を講ずべき無形文化財にも指定されています。これは、「衰亡の虞(おそれ)」のある伝統的な技術が指定されることになっており、1980年に指定されました。
衰亡の虞と言われるくらいですから、当時は厳しい環境だったのだと思いますが、それからの努力の末、今では伝統的工芸品の産地としては珍しく、若手職人も多く育ち、老舗の玉川堂はGINZA SIXに店を持つほどとなりました。

現在も日本の様々な場所で、様々な形で職人さん達が日々精進している中、伝統工芸とゆう技術が必要とされるようなものとなることを願いつつ、私自身も必要とされる鎚起銅器の道を目指し、一歩一歩と進んでゆきます。

【展示会のお知らせ】
明後日7月20日より
福岡での「グラノーラのある食卓展」に、オーバルの盆や丸盆にて参加させていただきます。
佐賀の李荘窯 寺内信二さんよりお声がけいただき、福岡のみなさんに触れていただく機会をいただきました。
生活に身近な器として、実感していただけたら幸いです。
開催期間 20日火曜〜31日土曜(26日休店)
時間 11時から18時
会場 台所 ようは
主催 Yuko’s Dish

この3日土曜より、新潟市古町通2丁目のヒメミズキさんにてのグループ転移参加させていただきます。
この度は、水差しに彫金を施すことや、オーバルな盆、鍋として使えるワインクーラー。また、キャンプや山登りに持っていったいただけたらと思いながらつくった片手パンなど。
この夏を楽しんでいただけたら幸いです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

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小暑のうつわ 
2020.7.3(土)〜7.11(日)
Open 11:00-18:00 
6日(火)休み
7/3(土)の13時までは
ご予約の方のみ
それ以降はご予約不要です。
オンラインショップは
7/6(火)
18:00〜

参加作家
・伊藤亜木 (ガラス)
・岩田智子 (陶器)
・大橋保隆 (鎚起銅器)
・竹本ゆき子(陶器)
・角掛政志 (陶器)

昨日、6月21日月曜の新潟日報の夕刊 おとなプラスに、銅鍋づくり体験の記事を掲載していただきました。
記者さんとカメラマンさんともに、1日の銅鍋づくりを体験していただき、銅鍋づくりに参加していただいた動機から、鎚起銅器のこと、当日の体験の流れ。
そして、その後の料理のことは、シェフ自らが銅鍋を製作し日々使われている、新潟市東中通1番町のティオペペさんに取材に行ってくださったりと、3面にわたり幅広くお伝えしてくださっています。
取材をいただいた伊藤亜弥さんの「作ることと使うこと。二つを自分の手でつなぐと、暮らしの実感が濃くなる。」とゆう表現が心に沁み入りました。
カメラマンの内藤雅子さんも銅鍋を叩きながらも、参加者さんの真剣な姿を撮影していただき記念に残る体験会となりました。

また、昨日は夏至。
それに合わせて、いつもデザインを担当してくれているツムジグラフィカ高橋トオルさんが、銅鍋づくり体験の雰囲気を感じてもらえる3分ほどの動画を編集してくれました。
また、日本各地に伺い鎚起銅器の魅力を多くの方に感じてもらえるように、今できることで準備を整えておきます。

人間らしい生活の道具としてご自身で生み出す銅鍋。
主催していただく際の詳しくは、以下blogをご覧いただけたら、幸いです。
日本各地へ伺いますので、ご縁があることを心よりお待ちしております。
銅鍋づくり体験の模様
https://tsuiki-oohashi.com/2019/07/11/3122/
銅鍋づくり体験について
https://tsuiki-oohashi.com/2019/01/13/2361/

ここ最近、ネットの古道具屋さんなどで手に入れた銅器達。
ひとつは古巣の玉川堂の4代目以前のものでしょうか。
彫金が冴え渡り、また水差し本体の製作も素晴らしいもの。

もうひとつは、どこのものかわかりませんが、小ぶりの形の良い、戦後どれくらいに作られた湯沸でしょうか。
本体のつくりは材料の少ない時代につくられたと感じるものでありますが、模様を彫り込む彫金の技が、流石に卓越しています。

最後の一つは、燕市内の銅器屋さんの作。
今は廃業されている近くの銅器屋さんもので、今主流となっているへら絞りとゆう重要で高度な技術が導入されたあとに、より良き形を追求したであろう痕跡が見て取れる湯沸。

よいものを沢山観ると決めて、職人に成り立ての頃は東京上野の国立博物館に足繁く通っていましたが、今は過去につくられた職人さんの技を手に取りながら拝見することができるようになりました。
それぞれの時代での職人のみなさんが込めた技術は、必ず語りかけてくれます。
どこをどう考え、どう製作したのか。
いつかそれを文章としても纏めたいと考えています。
その為にも、まだまだ実際に自分でも手を動かし経験を重ねるときとして、励みます。