『闘将!!鎚起職人』

『闘将!!拉麺男』という漫画をご存知だろうか。
週間少年ジャンプ『キン肉マン』に出てくるサブキャラクター「ラーメンマン」が独立しフレッシュジャンプで連載されたサブストリーリーだ。
私はこの漫画が好きで、その当時通っていた病院でよく読んでいたことを覚えている。
明日4月5日から、新潟県秋葉区新津三方舎さんで8年ぶりの鎚起銅器職人大橋保隆としての個展が始まる。
今回、鎚起銅器の世界では一般的に普及している動力を使って成形した「ヘラ絞り」銅器に鎚目を入れ仕上げをした商品も株式会社カルチベイトとして紹介する運びとなっている。株式会社カルチベイトは私が株主として3年前に法人化した会社だ。
数年前までは、絶対に取り入れないと言っていたこの「ヘラ絞り」技術。
しかし、230年の鎚起銅器の歴史で玉川堂以来に株式会社化し、「鎚起銅器職人を育てる」という命題を持っている現在。私個人が今も手がけている一枚から叩き上げる本来の鎚起銅器では生産数が少なく、次世代を育てるには下仕事と言われ徐々に腕をあげていける軽作業も少ないのである。
一般的な「ヘラ絞り」鎚起銅器を株式会社カルチベイトでも商品化することで、職人になりやすい環境をつくる取り組みなのだ。
このように考えが変わったのは哲学者であり株式会社ゲンロン創業者の東浩紀さんの『訂正可能性の哲学』の影響が大きい。
私個人は、「本来の一枚から叩く鎚起銅器」に拘泥し、正しいから誰かが引き継いでくれるだろうと考えていたが、数年でも年商150万円で生活できる人間が現代に出会えることはなく。私自身が徒弟制度から考えが抜け出せていない存在だったのだ。
しかし、年商も増え法人化する流れのなかで、私個人としては一枚から叩き続けるが、法人である株式会社カルチベイトとしてはヘラ絞り技術を導入し、一般的な量産できる鎚起銅器をつくるという物語を生成した。それによって、新しく職人を育てることができるだろうと。
今夜4月4日の前夜祭としてのプレゼンと明日から9日間の個展で、今までの私だけを知っている人には新しい取り組みに落胆させることもあるかもしれない。
しかし、法人化し成長してゆく中で見つけた、迂回するけれども本来のつくり方である鎚起銅器職人を育てるという物語は、今後も手を変え品を変え語り続けることだ。語り続けることでいつかこれこそが鎚起銅器技術を継承してゆく道だった。と言われるかもしれない。
きっと、私たちのこの取り組みも、これからも長く続く鎚起銅器の歴史のサブストーリーのひとつでしかないだろう。
ただ、そんなサブストーリーがざわざわと出てくるような喧騒こそが、この世界を豊かにしてくれると教えてくれたのも東浩紀さんである。
感謝の意と共に、その実践としての株式会社カルチベイトの物語を紡ぎ続けてゆきたい。
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3つの手仕事合同展
『ツバメきて虹あらわる』
大橋保隆 展(鎚起銅器)
@tsuikisyokunin
ワダヨシヒト 展(木の生活道具)
@ojn_handmade_hut
手織り絨毯 展(ガズニン/トライバルラグ)
@ghaznin_japan
期間:2025.4/5(土)〜4/13(日)
休み:4/9(水)
時間:11:00-17:00
会場:三方舎書斎gallery / 母屋
〒956-0864 新潟県新潟市秋葉区新津本町3丁目3−12
【同時開催】
◾️書斎ラウンジ(会期中全日)
『燕と虹のためのブックバー』
@barbookbox
BarBookBoxによるオリジナルタンブラー「満たすもの」で、季節のカクテルやウイスキーソーダ。そして、本を。
◾️出店(4/13日のみ)
『OldtownDessertCompany』
@oldtowndc_niigata
沼垂テラス商店街にアトリエを構えるケーキ店。チョコレートケーキ、チーズケーキをメインにご用意いたします。
お問合せ
三方舎 tel. 0250-25-3939
https://sps-i.jp/teshigoto/
@sanpousha