来年の目標のひとつ
2021.12.24
口打ち出し湯沸といえば、鎚起銅器で代表する技術のひとつ。
腕自慢の職人が多かった時代に、鎚起銅器の技術の先でどんなことができるのか、競い合いの中から生まれた技術と考えます。
ですので、どこが難しいのか、どこが要点なのかを、先ずは知る必要がある。
玉川堂六代目の工場長を担っていた父は、私が玉川堂へ入社した際にも、口打ち出し湯沸をよく作っていました。
その父は、「口の形がわかるまでは、口打ち出しはつくったらだめだぞ。」と、私に言っていました。
その理由が、数日までにふっと理解できた気がします。
今年は、湯沸や薬缶をたくさん作らせていただきました。その湯沸は本体と口は別々につくり、口を後から嵌め込むものですが、このような湯沸と口打ち出し湯沸はフォルムとして近くなくてはならい。とゆうこと。
それは製作工程上、口打ち出し湯沸が一番難しく、多くの職人が失敗する所でもあります。それでも、普段作っている湯沸にフォルムを近づけることが、職人たちの腕の見せどころだったのでしょう。
今、父は既に引退していますが、4年前に父から口打ち出し湯沸を教わる機会がありました。
それ以来も、腕を見せるよりもお客様に喜んでもらえる形の湯沸をつくりたいと思い、普通の湯沸をつくっていましたが、来年は父の思っていた口打ち出し湯沸をつくってみます。
4年前に父に教わった際の口打ち出し湯沸は、まだ完成前。
この湯沸を見ても、父が伝えたかったこと、フォルムの中のどこを重視しなければならないのかは、今なら理解できます。
4年前にはわからなかったこと。来年こそは、また一枚の板から。